11月28日から12月6日までの1週間、関東地方で地震の発生が相次いでいます。震度1以上の地震は17回を数え、折しもNHKスペシャルで『シリーズ 体感 首都直下地震』という、首都直下地震を想定した4夜連続ドラマ「パラレル東京」を含む検証番組が8日間連続で放送しているタイミングでの地震発生に不安を抱えている方も多いのではないかと思います。果たして、現在の関東周辺の「地下」はどうなっているのでしょうか? メルマガ『DuMAの「地下天気図」』を発行する「DuMA」でCSOを務められている、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し話題となった地震予知の第一人者、東海大学の長尾年恭(ながお・としやす)教授に、2018年の大阪府北部地震発生直前の地下の様子と、最新の関東「地下」事情についてお尋ねしました。
長尾教授の示す「地下天気図」とは何か?
地下天気図とは、通常の天気図のように、地震発生状況を低気圧/高気圧という馴染みのある言葉で地震活動を可視化したものです。
地下天気図における高気圧は、地震発生が「普段と変わらない」あるいは「少し活発な状況」です。それに対して、低気圧とは「通常より地震が少ない」状況を表しています。天気の場合、低気圧が近づくと雨の降る可能性が高まりますが、実は地震活動において広く認められている「大地震前の異常」は「通常より地震が少ない」状態です。これを地下天気図では「低気圧」と表現しています。(長尾教授・談)
2018年発生の大阪府北部地震、そのとき地下はどうなっていたのか?
ではここで、長尾教授がCSOを務めるDuMAのメルマガ『DuMAの「地下天気図」』より、2018年6月18日に発生の大阪府北部地震の発生前後の地下の様子を示した「地下天気図」をご覧ください。地震が発生する前年の2017年4月の地下天気図は、周辺は特に大きな変化は見られません。
しかし、同年12月、大阪府北部に変化があらわれます。下の図を見ると、地震の発生した大阪府北部周辺に、明らかな異変が起きています。
下の図をご覧ください。地震発生直前の2018年6月1日、大阪府周辺の地下で明らかな変化が見られます。
そして、下の図は地震発生の前日の6月17日の「地下天気図」です。明らかに地下が「異常」であったことが図版からも伝わってきます。
大阪府北部地震で明らかな「異常」を示していた地下天気図。ではここで、最新の関東の「地下」はどうなっているのか、長尾教授に聞いてみました。
関東周辺で頻発する地震。いま地下で何が起きているのか?
2011年の東日本大震災はまだ記憶に新しいところですが、関東地方北部に東日本大震災以後、初めてと言って良い「異常」が2019年8月ごろより観測されていました。そのような状況のもと、12月3日に茨城県南部で震度4を観測する地震が、「地下天気図」で異常が出ていた地域の端で発生しました(過去の経験則から地震は異常の中心部より、その周辺部で発生するケースが多くみられます)。そして12月4日には栃木県南部、茨城県北部でも震度4を観測する地震が続けて発生したのです。DuMAではこれら4日以降の活動は3日の地震に誘発された地震の可能性があると考えています。(長尾教授・談)
上記のgif画像は、長尾教授から提供された直近の関東の地下天気図をアニメーション化したものですが、明らかに関東の地下で「異変」が起きていることがわかります。はたして、近く首都圏直下地震は発生するのか、この地下天気図は何を意味するのか、防災意識を高め、普段から準備をしておくことが必要なのかもしれません。
image by: メルマガ『DuMAの「地下天気図」』