中東緊迫化を懸念 自衛隊派遣へ情勢見極め―日本政府

2020.01.07
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by 時事通信

伊勢神宮参拝後、年頭の記者会見をする安倍晋三首相=6日、三重県伊勢市

伊勢神宮参拝後、年頭の記者会見をする安倍晋三首相=6日、三重県伊勢市

 イラン革命防衛隊の司令官が米軍による空爆で殺害されたことを受け、日本政府内に事態の悪化を懸念する声が広がっている。イラン側が報復措置に出れば、本格的な武力衝突に発展する可能性が否定できず、閣議決定している中東への自衛隊派遣にも影響が出かねないためだ。
 首相は6日の記者会見で中東情勢に触れ「現状を深く憂慮している」と表明。「日本関係船舶の航行の安全を確保していく」と述べ、現時点で計画に変更がないことを強調した。官房長官も同日のBSフジ番組で「日本だけ何もしなくていいのか。それはあり得ない」と述べた。
 政府は昨年末、中東シーレーン(海上交通路)を航行する船舶の安全確保に向けた情報収集を目的に、海上自衛隊艦船などの派遣を決定。2月下旬から現場海域で活動を始める予定だ。の「調査・研究」が派遣の根拠だが、仮に不測の事態が発生すれば自衛隊法に基づく海上警備行動に切り替えることも視野に入れている。
 それでも、日本船舶を保護するための武器使用は緊急避難や警察権の範囲内に制限される。十分な備えのないまま、自衛隊艦船が武力衝突に巻き込まれる危険性は拭えない。防衛省幹部は「ドンパチが始まれば戦闘地域だ。戦闘地域に自衛隊は出せない」と語り、事態の推移によっては計画変更や撤収もあり得るとの認識を示した。
 首相は今月中旬にサウジアラビアなど中東諸国を訪れる予定。周辺海域での自衛隊の活動に理解を求めることが狙いだ。ただ、外務省幹部は6日、「中東情勢は一刻一刻と変わるから注視しないといけない」と述べ、ぎりぎりまで現地情勢を見極める考えだ。(2020/01/07-07:07)

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