福井にもあるぞ、天空の城。秋冬が見ごろ「越前大野城」の絶景撮影ポイント

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2019/11/21

11月も中旬に入り、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。こうした時期はが発生しやすく、いわゆる雲海を見るチャンスも増えます。雲海は世界の様相を一変させ、とてもロマンティックな光景を楽しませてくれますよね。

そこで今回は、雲海に没する平山城(平野の中にある山に築かれた城)である福井県「越前大野城」を紹介します。同所はいわゆる「天空の城」と呼ばれるお城のひとつで、自治体のアピールとともに知名度も高まってきている名城でもあります。

ズワイガニの一種、越前ガニなど秋冬のグルメを目当てに北陸(福井)旅行に出かける際には、ぜひとも越前大野城にも出かけてみてくださいね。

天守閣のある「天空の城」

戌山(いぬやま)に築かれた越前大野城 image by:福井県観光連盟

今回紹介するお城は、福井県大野市にある「越前大野城」。大野市といえば福井県の北部、いわゆる嶺北にある自治体で、近隣には曹洞宗の大本山のひとつ・永平寺があり、一乗谷朝倉氏の遺跡があり、日本の恐竜の聖地、勝山の恐竜博物館もあります。

そんな見どころ満載のエリアで、このところ絶景を売りにしている名城が越前大野城なのです。もともとジブリ映画『天空の城ラピュタ』のように雲に浮かぶお城として人気を得た走りは兵庫県朝来市の竹田城跡ですが、2014年ごろから福井県では越前大野城も「天空の城」として人気を集めています。

そのような背景を聞くと、「なんだ、二番煎じか」と思うかもしれません。しかし、越前大野城には再建された天守閣があるのです。初代の築城そのものは関ヶ原の戦いよりも前。残念ながら1775(安永4)年に焼失するなど、苦難の歴史を歩んでいますが、1968(昭和43)年に絵図などを基に再建された天守閣は、やはり見ごたえ十分

大野盆地に隆起した標高249mの亀山の山頂付近と共に、雲海が広がる朝は文字通りの「天空の城」の景観を楽しませてくれるのです。

見ることができるチャンスは年に十数回

越前大野城 image by:福井観光連盟

「天空の城」と書きましたが、その雲海に没した山城の姿を眺めらえるチャンスは、残念ながら年間でも十数回しかありません。過去の出現頻度をチェックすると以下のようになっています。

  • ・2018年
  • 10月1回
  • 11月3回
  • 12月4回
  • ・2019年
  • 1月7回
  • 2月2回
  • 3月3回

毎シーズン(秋冬)の最初に出た「天空の城」は、地元でニュースになるくらい希少な光景なのです。


その意味で見られる日の方がめずしいのですが、上述の月を一通り眺めて見れても分かる通り、天空の城が発生する時期は秋冬の朝。まさにいまからの時期が「」なのです。2019年の秋もすでに発生のニュースが伝わっており、地元紙などが報じています。

これから冬にかけて、北陸は天候が崩れる日も多いです。しかし、その合間を縫って美しく晴れた朝には、天空の城を眺める絶好のシーズン。

ただ、肉眼だと越前大野城はちょっと遠くに見え、観光写真で見るような迫力のある光景とは少し印象が違ってきます。美しくきめ細やかな写真を撮ってSNSにあげたい場合には、望遠レンズを装着した一眼レフカメラの持参が理想的です。持っていない場合でもせめて、スマホ用の望遠レンズを持参したいですね。

「天空の城」を見るには、きちんとした準備も必要

image by:Shutterstock.com

天空の城を眺めるため…言い換えれば亀山の山頂に建つ越前大野城を雲海のなかに眺めるためには、少し離れた場所に陣取って、雲海のなかに城が顔を出す瞬間を早朝から待たなければいけません。

一般的に、その絶景が拝める撮影スポットが、亀山から1kmほど西に離れた「戌山(いぬやま)」です。撮影スポットである犬山(戌山)城址に行くためには3つのコースが用意されていて、どの道もちょっとした登山道を上るため、動きやすい服装で行かなければいけません。

また地元では、一般的には「鍬掛(くわかけ)コース」(天空への小径)が最も歩きやすいとされています。筆者は鍬掛(コース以外の道を歩いた経験がないため、ほかとの比較はできませんが、歩きやすいといってもなかなかの道です。

20分ほど歩く間に、農地を動物から守る電気柵が設置されていたり、一本道の登山道がぬかるんでいたり、トイレがなかったり、暗いと足元が見えなかったりと、なかなかの思いをします。

また、もしかすると野生生物との遭遇もあるかもしれません。さらにいざ到着した撮影スポットも、ちょっとしたスペースがあるだけ。「きょうは見られるかも」という朝は、それなりに混雑します。

ちなみに「きょう見られるかもしれない朝」とは、前日に雨が降ったなど湿度が高く前日の日中と比べて朝の気温が低い(放射冷却現象が起きる)上に、風が弱い朝です。

福井旅行の時期、さらには当日の天候と幾つかの幸運が重なる必要がありますが、「いけそうだ」と思ったら、動きやすい服装、懐中電灯、防寒具など、十分な用意を整えた上で、撮影スポットを目指してみてください。

ちなみに自動車は近隣のホームセンターやスポーツショップ、ショッピングモールなどの駐車場が指定されていますよ。

  • image by:福井県観光連盟
  • ※掲載時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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