伊方3号機運転差し止め 活断層「否定できず」―仮処分の即時抗告審・広島高裁

2020.01.17
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by 時事通信

伊方原発3号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を受け、「勝訴」の垂れ幕を掲げる原告ら=17日午後、広島高裁前

伊方原発3号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を受け、「勝訴」の垂れ幕を掲げる原告ら=17日午後、広島高裁前

 伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを山口県の住民3人が求めた仮処分の即時抗告審で、広島高裁(森一岳裁判長)は17日、「敷地近くに活断層がある可能性が否定できず、火山灰などの想定も過小だ」として、運転を差し止める決定を出した。同原発の運転を認めない司法判断は、2017年の同高裁に続き2回目。
 四国電は決定取り消しを求める異議申し立てなどを行う方針。3号機は定期検査中だが、当初は検査が終わる予定だった4月以降に運転を再開できるかは不透明だ。
 森裁判長は、原発敷地から2キロ以内に存在する中央構造線について、四国電側の調査は不十分で「横ずれ断層である可能性は否定できない」と判断。活断層が存在しない前提で審査した原子力規制委員会の判断に「過誤ないし欠落があった」と指摘した。
 さらに、原発から約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の噴火について、「破局的噴火」に至らない規模の噴火でも、火山灰などは四国電が見込む量の約3~5倍に上ると指摘。「住民の生命、身体などに重大な被害を受ける具体的危険性がある」と結論付けた。
 四国電は「断層調査は十分に行っており、原発の運用期間中に巨大噴火が起きる可能性も十分小さいと評価できる」などと主張していた。
 山口地裁岩国支部は昨年3月、「基準地震動(地震の揺れの想定)に不合理な点はない」などと四国電の主張を認めて申し立てを却下。住民側が即時抗告していた。
 伊方原発3号機をめぐっては17年12月、広島高裁が巨大噴火が起きた場合に火砕流が到達する可能性を指摘し、運転差し止めを命じる仮処分決定を出したが、18年9月に異議審で別の裁判長が取り消した。
 四力の話 極めて遺憾で到底承服できるものではない。早期に仮処分命令を取り消していただけるよう、速やかに不服申し立ての手続きを行う。(2020/01/17-19:49)

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