25年度財政赤字、3.6兆円に拡大 歳出削減待ったなし―中長期試算

2020.01.17
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by 時事通信


 内閣府は17日、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)に中長期の経済財政試算を提出した。名目3%以上の高い成長率が前提の「成長実現ケース」でも、政府が財政健全化の目安とする基礎的財政収支(PB)は、黒字化達成の目標期限である2025年度に3.6兆円の赤字。昨夏の前回試算(2.3兆円の赤字)からさらに拡大し、目標達成は一段と厳しくなった。
 PBは国と地方の政策経費を借金に頼らず賄えるかを示す指標。国内総生産(GDP)の生活実感に近い名目で3%以上成長を見込んでも借金が残る見通し。海外経済減速に伴う税収減が響く。昨年10月の消費税率10%への引き上げで約4.6兆円の歳入増を確保するものの、膨らみ続ける社会保障分野を柱に歳出削減が待ったなしの状況だ。
 25年度のPB赤字には、消費税増税後の景気の落ち込みなどに備えた20年度当初予算案を含む13兆円規模の大型経済対策が響く。試算は21年度以降の歳出改革を織り込んでおらず、何もしないと黒字化は2年遅い27年度にずれ込む。それでも0.3兆円の黒字(前回試算1.6兆円の黒字)にとどまり、政府が追加の景気対策を打ち出せば、昨夏時点で既に1年後ずれした黒字化がさらに遠のく恐れがある。
 名目成長率が日本経済の実力に近い1%台半ばで推移する「ベースラインケース」では、PBは25年度でも8.2兆円の赤字。内閣府幹部は「着実な歳出改革でPB黒字化が視野に入る」と主張したが、22年度以降「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となり、増大する社会保障費の削減努力は不可避となる。(2020/01/17-13:32)

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