今回は印刷事業で成長してきたラクスルをピックアップ。その中でも特に、TV CMサービスが伸びている理由について分析していきたいと思います。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年1月23日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
中小企業向けのテレビCMを低コストで販売するビジネスモデル
Q. ラクスルのTV CMサービスが伸びる3つの理由とは?
・小ロット・低コスト化
・既存顧客へのアップセルが実現できている
・リーズナブルなテイククレート
今日の記事ではラクスルを取り上げて、その中でも特に、TV CMサービスが伸びている理由を分析していきたいと思います。
画像出典:ラクスル株式会社 2020年7月期第1四半期 決算説明会資料
初めに決算全体を見ておくと、2019年の8月から10月の四半期で、売上が約54億円、YoY+56.1%、売上総利益が12億円でYoY+42.5%と、とても早いペースで成長しています。
上場してから数年経っているかと思いますが、YoY+50%という早いペースで成長出来ている会社というのは上場企業ではほとんどありませんので、成長スピードという点では申し分ないペースだと言えるでしょう。
黒字を維持しつつも大胆な投資
ラクスルの決算で更に特徴的なのが、こちらのグラフです。
売上が右肩上がりで伸びていっているにも関わらず、グレイのグラフに相当する営業利益が、わずかに黒字ではあるものの、ほぼゼロになっています。
このスライドにも書かれていますが、今のタイミングにおいては利益を出すよりも、事業に対して再投資をすることによって、さらにビジネスの規模を大きくしていこう、という点が最大のポイントなのではないかと思います。
他の赤字の会社と違うのは、これだけ大きく投資をしているにも関わらず、少しではありますが黒字にしているという点です。つまりやろうと思えばいつでも黒字にできるというメッセージも同時に発しているのが、IRとしては異常に上手いなと思いました。
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