以前から日本には、禅や武道などの日本文化を学びに訪れる外国の方が数多く存在します。中には、そこで得た知識や経験を自らの仕事に活かしている人も少なくありません。5年間でゴディバ・ジャパンの売り上げを倍増させたジェローム・シュシャン社長もその一人です。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、フランス人であるシュシャン氏が弓道から学んだ「正射必中」の精神を語っています。
「正射必中」の教え ゴディバ・ジャパンの躍進に学ぶ
弓道の教えを経営に生かし、高級チョコレートメーカー、ゴディバ・ジャパンの売上高を社長就任から5年で2倍に伸ばしたジェローム・シュシャンさん。その弓道に学んだ「正射必中」の経営の神髄、日本企業に欠けているものを語っていただいた。
社長に就任する前の3年間、既存店の売り上げや来客数は下がっていました。そういう中で、今年は15%増を目指そうと言ったところで、誰もついてこないと思うんですよ。
だから、目標はプレッシャーにならないように、5%増の予算を立てる。けれど、新商品は何にするか、どこに出店するか、どんな社員研修をやるか、といった毎日毎日やることは一所懸命ベストを尽くす。
これはいま日本の会社で一番足りないところだと思います。「これやれ、あれやれ」と上から命令されてもやる気って出ないでしょう。
私が社長に就任する前の3年間は、まさにそういう状態に陥りかけていました予算を達成できなくて、社員のモチベーションが下がる。達成できないと、上の人は「もっとやれ」と命令する。これはよくないですよね。ですから、「明るく、楽しく」と「一所懸命」、両方大事です。
もっとも結果を狙うのではなく、プロセスを求めるというのは弓道の教えに基づいていまして、弓道には「正射必中」という言葉があります。正しく射られた矢は必ず的に当たるという意味です。
例えば、矢を放つ前に「これ当たるかな」「いつ手を放そうかな」と思っていると、たいてい失敗するんですよ。ところが、そういうことに気を取られず、自分が練習してきたことを淡々と一所懸命やれば必ず当たるんです。
だから、弓道では的に当たる結果よりも、矢を放ち終わるまでのプロセスを大切にしています。プロセスを正しく行えば、結果は必ずついてくると。
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