新型肺炎を巡っては、中国政府の初動の遅れ等を非難する声も上がっていますが、グローバル目線では隣国の日本も危険視され始めているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「NZの一部では日本が新型肺炎の汚染国扱いされている」という現地在住の読者からのメールを紹介するとともに、日本政府の対応の甘さを指摘しています。
日本は中国と同じ【感染国扱い】になりつつある
先日の「カネ目当てと習近平への忖度で新型肺炎を蔓延させた安倍政権の愚」でご紹介したニュージーランド在住の読者さんから、追加のメールが届きました。非常に興味深い内容ですので、ご紹介させていただきます。
先日は拙い文章をご紹介いただき、ありがとうございました。ちょうど、北野さんにメールを出したすぐあと、中国で今回の新型肺炎を報告した眼科医の方が亡くなりました。その後、いろいろ記事を読みますが、本当にこんなことが日本で起こっているのか?…と信じがたいニュースを目にします。
● “疑い”ぬぐえぬ患者 対応苦慮
(※ 北野註 ↑↑↑ 必読です)
空港職員の方が新型肺炎ウィルスに似た症状を呈しているのに武漢にいっていない…という理由で検査がされない…というのです。優先順位をつけなければならないのは分かります。でも、先日もお伝えした通り、私が成田を発った1月22日現在、武漢行の直行は出ていました。その時、マスクをしていた空港職員はごく一部です。昨日は中国が「エアゾル感染(空気感染ではないけれど、お話ししただけで感染する可能性がある)する」と認めているのです。空港職員は優先順位を高くすべきなのではないでしょうか?
オークランドでは一部の小学校で、「日本は新型肺炎の汚染国扱いで、帰国後2週間、出席を停止すること。また、日本から帰ってきた家族がいる場合も同等のこと」という処置がされています。今のところ、全体的な動きではないものの、今後の日本国内の感染の拡大によっては全部の学校に広がる可能性も否めません。これは小さなことかもしれませんが、うちの子供たちは日本語の補習校に通っていますが現地の学校の敷地をお借りしている状態で、今後このことが原因で「出て行ってほしい」といわれる可能性もあるのではないかと危惧します。
今、中国経済はダウンしていますが、日本も感染国になれば、当然同じ道を歩む可能性が高いと思います。それ以上に心配なのは日本にいる家族友人たちのことです。国内感染が拡大するということは、内外の日本人にとって死活問題です。
日本国内はすでに中国の状態は対岸の火事ではなくなってきています。ここ1~2週間で、日本が中国のような状態になるのか、否かが決まると思います。日本の政府高官の方々に、是非とも感染の可能性のある人の範囲を広げて検査をしてくださるよう、願ってやみません。
ちびたちの母
ちびたちの母さんからのメール、およびご紹介された記事からわかることが二つあります。一つは、日本では新型コロナウィールスに感染している人でも、見つからないケースが山ほどある可能性。
新型コロナウイルスの検査を行う対象について、厚生労働省は37度5分以上の発熱と肺炎を疑わせる呼吸器症状があり、2週間以内に武漢市を含む湖北省への渡航歴があるか、湖北省に滞在した人と濃厚接触した人まで含めるよう広げました。
(NHKニュースウェブ 2月6日)
検査の対象条件は、
- 37度5分以上の発熱
- 肺炎を疑わせる呼吸器症状
これは、いいでしょう。しかし、その後がつらい。
- 2週間以内に武漢市を含む湖北省への渡航歴がある
- 湖北省に滞在した人と濃厚接触した人
この2点にあてはまらない感染者は、山ほどいるのではないでしょうか?それで、
患者の男性は、外国人旅行客と接触する機会もあるため、医師は、新型コロナウイルスへの感染の疑いもあるとして、検査ができないか、今月3日に保健所に問い合わせましたが、国が定める検査対象にはあたらないとして、対応を断られたということです。診療所の河内文雄医師は、「経過が通常の肺炎とは異なり、勤務環境からも新型コロナウイルスへの感染の疑いがあると判断したが、保健所は『武漢や湖北省との接点がない』との一点張りで対応してくれなかった。こうしたケースは多くあると思われ、放置していたら、今後、感染が拡大するのではないかと心配している」と話していました。
新型コロナウィールスが流行っていること。もちろん日本政府に責任はありません。しかし、日本国内で感染者が増加していること。これは、間違いなく政府の対応が遅すぎる、甘すぎるからで、「人災」といってもいいでしょう。