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ついに政府統計でも景気後退へ。消費増税が日本経済を破壊し、新型肺炎がトドメを刺す=矢口新

10〜12月期のGDP速報値は年率換算6.3%減と大幅に悪化し、5四半期ぶりのマイナス成長となった。1〜3月期の減速もほぼ確実で、予測されていた通り、消費増税が日本経済を壊したことになる。(『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』矢口新)

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※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』2020年2月18日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

コロナウイルスの影響はこれから。消費増税を境に日本経済は墜落

統計マジックがなければもっとひどいマイナス成長だった

10-12月期のGDP速報値は前期比1.6%減、年率換算6.3%減だった。5四半期ぶりのマイナス成長。名目では前期比1.2%減、年率換算4.9%減だった。

個人消費は4.8%減だった。消費増税が主因だが、これでも軽減税率の導入やキャッシュレス支払いへのポイント還元などの政策効果が一定程度消費を下支えしたとみられている。

設備投資は3.7%減と、3四半期ぶりに減少。住宅投資は2.7%減。公共投資は底堅いが、内需全体では2.1%分押し下げた。

この数値をウォールストリート・ジャーナルは以下のように採り上げた。

米国、中国に次ぐ世界で3番目に大きな経済国、日本の経済が10-12月の四半期に年率換算6.3%縮小した。エコノミストたちの予測3.9%減よりも悪化した。

最大の要因は個人消費の急減で、10月1日に消費税率を8%から10%に引き上げた結果だ。

出典:Japan’s Economy Shrinks 6.3% as Sales-Tax Increase Cools Consumption – WSJ(2020年2月17日配信)

同期の輸出は0.1%減。輸入は内需や国内生産の弱さを反映し、2.6%減だった。輸出から輸入を差し引いた外需のGDPへの寄与度はプラス0.5%となった。

つまり、内需は前期比2.1%と弱いのだが、その弱さが輸入減としてGDPを押し上げたために、前期比1.6%減で済んだのだ。

そうしたいわば統計のマジックがなければ、年率換算8%を超える縮小でもあったのだ。これで、19年通年のGDPは実質で前年比0.7%増、名目で1.3%増となった。

主要上場企業1,713社の業績「8年ぶりの減益」

また、同期の主要上場企業1,713社(金融を除く)の業績は8年ぶりの減益となった。内容は日経新聞がくわしく報道しているので紹介する。

上場企業の2019年4-12月期決算がほぼ出そろった。純利益の合計額は24兆6709億円と前年同期から12%減少し、同期間としては2年連続で減益となった。米中貿易摩擦や消費増税の影響で製造業・非製造業がともに減益となった。業種別では市場低迷が続いた自動車関連と、その余波を受けた電気機器や鉄鋼の減益が目立つ。小売りは7%の減益と消費増税の影響が出た。

日本経済新聞社が決算発表を終えた主要上場企業1713社(新興など除く)を集計した。金融を除くベースでは、19年4-12月期としては8年ぶりの減益となった。業種別では全34業種のうち20業種が減益。製造業は16業種中14業種(造船は赤字)が減益だった。

製造業の純利益は24%減の10兆1883億円となった。4-9月期末時点の30%減からは減速感がやや弱まった。非製造業は4%減の10兆1376億円となり、6%増の7兆1012億円だった4-9月期から減益に転じた。17日に発表された10-12月期の国内総生産(GDP、速報値)は年率換算で前期比6.3%減となった。国内景気へのブレーキが企業業績にも影を落としている。

20年3月期通期の純利益予想に対する4-12月期の進捗率は81%と、過去5年平均の83%をやや下回っている。

出典:上場企業、2年連続減益 4~12月期の純利益12%減 – 日本経済新聞(2020年2月17日配信)

消費増税が日本経済を破壊した

この数値には、当然のことながら新型コロナウイルスの影響は含まれていない。

内需を殺し、中国の生産力や、インバウンド消費に大きく依存してきた日本経済が、1-3月期も減速するのはほぼ確実だ。

景気後退の公式な定義は2四半期連続の減速とされているので、予測されていた通り、消費増税が日本経済を壊したことになる。

これで総税収が減ることもほぼ確実で、日本経済はマイナス金利政策、GDPに匹敵する資金供給のもと、経済縮小、財政赤字拡大、公的債務拡大の既定路線を進むことになる。

これで年金制度を含む社会保障制度の弱体化は決定的で、私見では残された経済政策はたった1つ、消費税撤廃だけとなった。

日本株は「売られた時は買い」が機能する?

一方、そうしたことを反映してか、日経平均株価のオプション市場ではプット(売る権利)買いが膨らみ、投資家の弱気な心理を示している。

日経平均のプットコールレシオ(PCR)は2月12日に2.076と、2006年2月以来の高水準になった。PCRはプットの総建玉をコール(買う権利)の総建玉で割ったもので、上昇は弱気な投資家が増えていることを表す。

とはいえ、繰り返すが、日本株を買い支えてきたのは日銀と企業の自社株買いだ。下がれば売るような投資家は、買えていないのが実情なので、売りは下げれば買い戻すことが前提の投機家だけだ。また大きく下げれば、年金も買える。

これまで通り、売られた時は買いスタンスが機能するはずだ。

また、これまで月間ベースでは2007年から、2016年5月に中断したくらいで、継続的に日本株を売り続けてきた銀行が、2020年1月には43カ月ぶりに買い越した。そして、これが継続する可能性が出てきたのだ。

これは別の機会に述べるが、くれぐれも売り圧力に負けて、パニックになることは避けて頂きたい。

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・日本経済、公式でも景気後退ほぼ確実(2/18)
・債務超過なのに株主還元のなぜ? と「リスクの先送り」(2/17)
・医師の死、中国の前途に影(2/17)
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相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』(2020年2月18日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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