令和元年10〜12月期の実質GDPは6.3%減と急激に失速しており、今後もGDPが落ち込むことは明らか。そんな中、2月の月例経済報告で政府は、実質GDPの先行きの懸念点から「消費税増税の影響」を削除した。こうした景気悪化の原因を、「新型肺炎の感染拡大」に責任転嫁したと、あの産経新聞が報じている。常日頃から政権寄りのスタンスによる報道が目に付く産経が、このように報じたことの意味は大きい。ほとんどの国民が景気悪化を肌で感じている一方で、安倍首相の地元・山口県では、血税300万円を投入した「山口県の総理大臣展」が開催されていたという。
【増税影響、新型肺炎に「責任転嫁」】
2月の月例経済報告では、基調判断で先行きの懸念材料から消費税増税の影響を削除し、代わりに新型肺炎の拡大を強調。
エコノミストは「消費税増税の影響から目線をそらしたいと勘繰られても仕方がない」と懸念します。#新型肺炎https://t.co/b9NbJw1uZp— 産経ニュース (@Sankei_news) February 20, 2020
衆院解散・総選挙見越したか?
東京オリンピック閉幕後のタイミングが有力視されている「衆院解散・総選挙」。景気悪化の原因として「増税判断」の是非が問われることが予想されるが、与党の「新型肺炎の感染拡大」に責任転嫁したいという思惑が見え隠れする。米紙から「大失態」と批判され、「安倍氏の経済失政の代償を回避するのは手遅れ」とまでこき下ろされた消費増税。3月の月例報告で国民にどう報告するか、その言動に注目したい。
国民負担率が高い日本
財務省からの出向者が幅を利かせていると言われる国際通貨基金(IMF)は、消費税率を2030年までに15%へ引き上げるよう提言している。増税前の2019年4月に財務省が発表した「国民負担率」の見込みは42.8%で、昭和54年の30%と比較すると、ここ40年余りでかなり高くなっていることがわかる。主要国であるフランスは67.2%、スウェーデンは58.8%と日本より高いが、それだけ社会保障のサービスも手厚く、「高福祉・高負担」の国といわれているので単純に比較はできない。
日本はどうだろうか。消費税は引き上げられ、景気は悪化。個人や中小企業の所得、収益は下がり続けている。加えて、介護保険料の値上げと負担増額が先日発表されるなど、負担額も増える一方だ。国民の多くは、キャッシュレス決済のポイント還元などで1円、10円…と切り詰めて生活している一方、政府の金遣いは荒く、税制でも大企業への優遇措置ばかりが目立つ。