すでに旅行を楽しむ台湾、非常事態宣言の日本。差は何故ついたか

kou20200409
 

1月21日に新型コロナウイルスの初感染者が確認されるや、矢継ぎ早に的確な施策を打ち続け、ほぼ「制圧」に成功したとされる台湾。一方、7日に緊急事態宣言が発令されるも、あまりの遅さとその強制力の弱さが各国から批判されている日本。両国間に、なぜこれだけの差がついてしまったのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんは今回、自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、福沢諭吉の『脱亜論』の一節を挙げ、台湾がいち早く新型コロナウイルスとの戦いに勝利した理由を考察しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年4月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】もう国民が国内旅行を楽しむ台湾と、緊急事態宣言の日本

清明節の4連休、中・南部への旅行が人気 予約率9割超のホテルも/台湾

台湾は4月2日から、先祖の墓参りをする「清明節」に伴う4連休となりました。新型コロナの影響で海外旅行に行かない人たちが国内旅行を楽しんでいるという記事がありました。人気なのは台中の日月潭や、台湾最南端のリゾート地である墾丁などだそうです。

一方で日本は非常事態宣言が発令され対象地域となった7都府県にお住まいの方は、1か月ほどの間不自由な生活を強いられることとなりました。このことに対して蔡英文総統は、ツイッターに日本語で以下のようなコメントを出しました。

「手を携えてこの闘いに勝ちましょう!地震も、台風も、台日の協力で乗り越えてきました。だからこそ、勝ってまた会いましょう!」

緊急事態宣言 協力して勝とう=蔡総統が日本に連帯訴え

東京の感染者数が増加の一途をたどり、非常事態宣言の発令により東京や大阪などの対象地域は社会生活がかなり制限されています。それに比べて、台湾人は清明節休暇をリゾート地で満喫しているのです。この差はどこからきたのでしょうか。

もちろん、台湾政府の迅速な対応と、徹底した感染防止対策があったからです。マスク販売についても、身分証を提示しての予約販売制度により買い占め行為が起こらないようになっています。さらに毎朝の政府高官の記者会見で、あらゆる情報を公開し、ルール違反者は厳しく罰する徹底ぶりです。これまで、コロナ関連で高額な罰金を科された例はいくつかあります。例えば、武漢への渡航歴を隠した人は罰金30万元(約110万円)。

武漢滞在を隠した患者に罰金 台湾、新型肺炎で

自主隔離を義務付けられていたのにナイトクラブで遊んでいた男性に罰金100万元(約360万円)などです。

台湾、隔離無視しクラブ行った男に罰金360万円

政府の毅然とした態度が感染拡大を封じ込めました。その結果、台湾人は四連休の休日をリゾート地で満喫できるわけです。

一方で、日本は非常事態宣言は出すが都市封鎖はしない(できない)など、中途半端だという声も少なくありません。学校が2か月も休みになり、家から出られない子どもたちのストレスは相当なものでしょう。授業も滞ります。今回ばかりは、日本政府の対応に責任を問われても仕方がないのかと思います。

海外からも「大胆な措置を取るのが措置が遅い」「強制力がない」など、緊急事態宣言に対して、厳しい批判が出ています。

「措置遅い」「強制力ない」 緊急事態宣言で海外メディア

とはいえ、日本は、私権を制限することは憲法上できないことになっています。日本は戦前の反省から、憲法には緊急時に私権を制限する「緊急事態条項」がありません。戒厳令さえありません。他国では、緊急事態になれば、私権を制限するのは当然です。ところが日本ではそれができません。

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