ゼネコン、広がる工事中断 新型コロナで、費用負担や工期遅れ懸念

2020.04.28
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by 時事通信

工事中断を知らせる現場の工程表=24日、東京都内(一部、画像処理してあります)

工事中断を知らせる現場の工程表=24日、東京都内(一部、画像処理してあります)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、建設工事を中断する動きが広がっている。は、政府の緊急事態宣言が当初から発令されている7都府県で9割の工事を見合わせているほか、鹿島建設は26日までに全国260カ所以上で中断。も順次停止している。中断すれば人件費など追加費用が発生してゼネコンの収益を圧迫する一方、工期の遅れで暮らしへの影響も懸念される。
 ゼネコン各社では、清設や大組で社員や作業員の新型コロナ感染が判明した。当初は工事継続方針だったところも、人命最優先の判断から中断に踏み切らざるを得ない状況になっている。
 中断した場合、追加費用を誰が負担するのかが課題だ。中断している間も機材のリース代がかかり、工期に間に合わせるためには再開後に増員して工事を急がなければならない。人手不足に伴い人件費は高騰しており、コストが膨張する恐れがある。
 マンションなど既に入居予定者がいる建築物での工期延長は補償問題になりかねない。入居者にとっては生活設計などに狂いが生じる。道路整備などの公共工事が遅れれば、幅広い地域に支障が出る恐れがある。
 ただ、中断には発注者の同意が必要で、全ての現場で作業を止められるわけではない。建設現場特有の慣行なども事態を複雑にする。大手ゼネコン関係者は「日給制のため工事を止めてほしくないという作業員がいる」と明かす。別のゼネコン関係者は「別の動いている現場に作業員が行ってしまい、再開時に人を確保できなくなる」と懸念。中断に踏み切れない現場もあるという。(2020/04/28-07:09)

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