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日本の税収はもう60兆円を超えられない。税制改悪で経済復活しても財政危機まっしぐら=矢口新

2019年度の国の税収総額は58.4兆円となり、2年ぶりに60兆円を割り込んだ。今後再び60兆円台に達する可能性は低くなったと言える。その理由を解説したい。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』2020年6月22日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

日本の税収、2018年度の60.4兆円を頂点にあとは下がるだけ?

2019年度の国の税収総額は60兆円を割り込んだ。政府は19年度の税収を当初、62.5兆円と見積もっていたが、昨年12月に補正予算を編成した際、米中貿易摩擦などの影響を勘案して60.1兆円に下方修正。年度末にかけて新型コロナの影響が加わり、最終的に58.4兆円程度となったことが発表された。

2018年度の国の税収総額は60.4兆円と過去最高だった。その前の最高は1990年度の60.1兆円。3番目は1991年度の59.8兆円、4番目は2017年度の58.8兆円なので、2018年度の60兆円台はダブルトップ(下落するサイン)となった形だ。

ちなみに、下記参照図の一般会計税収は右肩上がりで2019年度が62.5兆円となっているが、これが上記の理由で50兆円台後半まで下がることになった。

参照の「我が国財政の現状」は、自国政府がどのような状況に置かれているのかを知るために、グラフだけでもぜひ目を通していただきたい。当事者(全国民がそうでもあるが)である財務省の職員が、こうした資料を淡々と作成している光景を想像すると、何となくシュール(超現実的)だ。

「P6:5.債務残高の国際比較(対GDP比)」は、188カ国中、188位日本235.0%となっている。184位はイタリアとあって131.3%なので、日本の数値はかなりシュールだ。

P8の「一般会計税収の推移」では、2009年まで消費税収と所得税収とが逆相関関係にあったことが分かる。以降は、リーマンショックをきっかけに財政支出を急増させ(P3の図参照)、アベノミクスでは資金供給を急増させたので、曲がりなりにも税収総額が2度目の60兆円台に乗ったのだ。

また、P17の「(参考グラフ)利払費と金利の推移」では、政策金利低下の恩恵を誰が最も享受してきたかが見て取れる。

本題に戻ると、日本の税収は今後2度と60兆円台に達する可能性が低くなった。次項でその理由を述べる。

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