『M 愛すべき人がいて』ヒットの法則は「SNSでツッコめる」ドラマ

2020.07.04
by tututu
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田中みな実の怪演ぶりなどが話題のドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系/毎週土曜23時15分)が、4日にいよいよ最終回を迎える。スタート前は「なぜ今、浜崎あゆみのドラマ? 」「原作の暴露本に興味ない」といった辛辣なコメントが目立つなど、全くと言っていいほど期待されていなかったドラマが、なぜこれほどまでにヒットしたのか。そこには綿密に仕組まれた戦略があった。

『M 愛すべき人がいて』に見る、ヒットドラマの新たな法則とは?

このドラマがヒットした理由、それはズバリ脚本家の鈴木おさむ氏の狙いがことごとく当たったことだ。なぜか眼帯をして、「許さなーーーい! 」と戦慄な言葉で叫ぶ田中みな実、さらにスパルタな鬼講師・天馬まゆみ役の水野美紀の怪演ぶりなど、話題になっているのは主人公ではない、サブキャラクターばかり。鈴木氏はメインキャストのストーリーはきちんと描きつつ、その他のキャラクターを使って遊んでいるのだ。

毎週土曜日、ドラマの放送が始まると同時に、SNSがざわつき始める。なぜなら、視聴者は皆、ドラマを見ながら、「田中みな実が狂気の顔してドラム叩いてる笑」「田中みな実がヤバイ顔してアユの塩焼き食べてる」など、SNSで一斉につぶやき始めるのだ。

「リアルタイムでドラマを見ながらツッコんでもらう」これこそが制作陣の狙いで、見事にその通りになっているのである。

かつて1970~80年代にヒット作を連発した大映ドラマは、その独特な演出、大袈裟な演技、ジェットコースターのような急展開などで一世を風靡し、ドラマの翌日になれば、「昨日の●●観た? 」と友達同士で話が盛り上がった。当時を知る40代以上の人であれば、そんな経験をしたことがあるだろう。

ドラマ『M 愛すべき人がいて』はまさに同じことをしている。唯一違うのは、「SNSというツールがあるかないか」という点。当時、次の日の学校で話していたことを、今はSNSを使ってリアルタイムでつぶやいているのだ。

1972年生まれの鈴木氏は、この大映ドラマを観て育った世代。この手法を令和版に置き換えて、実践していると言えるだろう。

『あなたの番です』は考察

令和に入ってヒットしたドラマといえばもうひとつある。2019年4月から2クールに渡って放送された、日本テレビ系『あなたの番です』だ。出演者たちが「交換殺人ゲーム」に巻き込まれる姿を描いたミステリードラマだが、こちらもSNSで話題となった。

『あなたの番です』の場合は、『M 愛すべき人がいて』のようなありえない演出にツッコミを入れるのではなく、キーワードとなるのは“考察”だ。ミステリーらしく犯人捜しはもちろんだが、「このシーン怪しくない? 」「これが動機かな? 」など、ドラマ放送中のみならず、放送後もSNS上でずっとこの考察が行われていた。

ドラマは徐々に話題となっていき、放送当初は一桁だった視聴率が、しり上がりに上昇していき、最終回では19.4%を記録。大ヒットとなった。

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