平気で嘘つく狡猾さと驚くべき度胸。小池百合子という虚飾の女帝

arata20200709
 

都知事選歴代2位となる約366万票を得て、他を寄せ付けない強さで再選を果たした小池百合子氏。なぜ小池氏はここまでの圧勝を飾ることができたのでしょうか。その理由を「都民の熱烈な支持を集めたからではない」とするのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、「新型コロナ対策が追い風になった」だけだと断言した上で、そのコロナ対策の内容についても疑問を呈しています。

コロナが追い風?虚飾の女帝、都知事に再選

再び、首都圏にコロナ感染の波が広がっている。社会経済活動を心おきなく進めるには、「検査と隔離」の徹底が必要なのに、東京都の動きはいまなお鈍い。

それでも、東京都知事選は大方の予想通り、小池百合子氏が再選された。

石井妙子著『女帝 小池百合子』(5月末発行)が一躍ベストセラーになり、「カイロ大学卒」の学歴など、出世物語にひそむ疑惑の数々が掘り出されたが、小池氏はこの間、平静を装い続けた。

事前調査通りの圧倒的勝利。それは、前回のように、小池氏が都民の熱烈な支持を集めたからだろうか。決して、そうではあるまい。

この4年間、小池氏は都知事としてどんな業績を残したのかを考えてみるがいい。「東京大改革2.0」を今回選挙のスローガンにしたが、「1.0」はいったい何をやったというのだろう。

築地から豊洲への市場移転問題も欺瞞に満ちていた。「立ち止まって考えなければ」と言って当選した手前、とりあえず延期して、前知事との違いを強調するポーズをとったが、結局それはその後2年にわたる人心、行政の混乱と、時間、カネの無駄をもたらしただけだった。

では、なぜ小池氏が圧勝したのか。結論から言おう。都知事が否応なしに取り組まなくてはならない新型コロナ対策が強烈な追い風を呼び込んだのだ。

この非常時、ウイルスに立ち向かうべきリーダーを替えてゴタゴタしてもらっては困る。それが都民の本音だろう。

自分が他人からどう見えるかを、状況や環境の変化に応じて想像できる能力の持ち主が、小池百合子という政治家だ。今回の選挙戦略は、ひたすらコロナ対策にまい進する知事を演じ切ることだった。

CDC(米疾病対策センター)東京版の創設。名前をつければ、具体的な印象を帯び、耳あたりがいい。公約の柱はできた。

そして、「密」を避けると訴え、ひたすらオンライン運動を徹底する。緑色をまとった支援者を集め、街角を回る必要などない。テレビへの露出は、日々のコロナ記者会見でたっぷり確保できるだろう。他候補との決定的な違いはそこだ。

すべては狙い通りだった。PR臭ふんぷんたる小池候補のオンライン映像はテレビ番組には使いにくい。小池氏の場面に時間を割けないとなれば、他の主要候補の運動風景もまた、制限せざるを得ない。平等な放送時間を割り当てるという昨今の呪縛は、選挙報道をつまらなくしているが、今回の都知事選たるや、あまりにも貧相だった。

テレビ局の事情を熟知している小池氏だからこそ、思いついた作戦かもしれない。街頭を避け、オンラインに閉じこもって、他候補のメディア露出を妨げる。現職でもなければ、小池氏ほどの知名度もない他候補は、街頭演説で人を集めたいところだが、「密」になればコロナ感染が怖いため、思うに任せない。

せめてテレビの公開討論会をと、山本太郎氏や宇都宮健児氏が、テレビ各局に求めたものの、結局は開かれずじまい。それも、小池候補がコロナ対策などの理由をつけて拒否したためだと、他陣営は憤る。

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