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青色じゃない年金手帳が出てきたら要注意。消えた年金記録問題の被害者かも=年金アドバイザーhiroki

現在支給されている年金手帳といえば、青色のもの。しかし高齢者の中には、青以外の手帳を持っているという方も少なくないようです。なぜそのような状況が起こりうるのでしょうか。今回は色違いの手帳が存在する理由とともに、青色以外の手帳が出てきた際に確認すべきことを解説します。(『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』年金アドバイザーhiroki)

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プロフィール:年金アドバイザーhiroki
1979年生まれ。佐賀県出身。2003年佐賀大学経済学部経済システム課卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。その翌年に民間企業を退職し、年金相談の現場にて年金相談員を経て、スーパーバイザーの後に統括者として相談員全体の指導教育に携わる。

過去に増え続けた年金記録と、その後宙に浮いていった年金記録

20歳になると国民年金に強制加入となり、20歳の誕生月分の保険料から納付義務が発生します。

国民年金に強制加入となるから、その時に青色の年金手帳が交付されます。年金手帳というと高齢者が持つものというイメージがありますが、20歳から持ちます。

なお、年金を請求して年金受給者になると、その証拠として年金証書というものが発行されます。年金証書は受給者しか持っていません。

さて、年金手帳は今現在はみんな「青色」の手帳なんですが、これに統一されたのは平成9年1月からです。昭和61年4月から、どんな人であれ国民年金に加入して将来65歳になったら共通の年金として基礎年金を受けるという制度になり、平成9年1月から一生変わらない基礎年金番号で管理するようになりました。

じゃあ、その前は一体どうしていたのか?というと、厚生年金に加入してた人は昭和49年9月までは厚生年金被保険者証というのが発行されていました。この被保険者証が交付されて、これに厚生年金番号が付けられていました。番号が付けられましたが、転職するとまた新しい番号が付けられていきました(こうやって複数の番号を持つ)。

一方、国民年金は昭和36年4月1日から始まりましたが、昭和35年10月から国民年金手帳の配布が始まりました。

前置きの話なんですが、昭和35〜36年というのは、その直前にあった日米安全保障条約への安保闘争があった時代であり、岸信介首相が条約を強行採決したことに対し、社会党はじめ革新団体、学生の反対運動が激化していた頃でした。30万人もの学生が国会を取り囲み、連日反対運動が行われていました。

昭和30年代・40年代というのは、労組の闘争とか何かと大規模な闘争が相次いだ時代でもありました。そういえば今の時代って、ストライキという言葉をほとんど聞かなくなりましたよね。会社が労働者の要望に応えないなら、俺たちは会社に行かない!働いてやらないぞ!っていう職場放棄。従業員が働いてくれないと社長が困るから、労働者の言うことを聞かざるを得なくなる。そういう強硬手段がよく取られていたのです。

昭和35年6月19日に新安保条約が自然承認され、今までの反対運動のエネルギーが次は国民年金反対運動へと向かってしまった。そんな時に昭和35年10月から年金手帳の配布が始まりました。ちょっとタイミングが悪かったですよね……。

安保闘争から今度は国民年金反対運動へと矛先が向き、年金手帳を受け取るなー!というような呼び掛け運動も起こった。保険料を徴収しなければならないけども、その保険料が再び戦費調達に使われるというようなことが言われたりして、社会党や革新団体を中心に全国的に国民年金反対運動が起こってしまった。

度重なる反対運動のせいで、年金への悪評が広まることになっていったのです。

また、必ずしも所得の高い人ばかりから年金保険料を徴収するわけではないので、年金積立金の使途を明確にしなければ保険料支払いたくない!という運動も高まったことで、年金積立金の使途も明確にされるようになりました。年金積立金は当時は大蔵省預金部に預託されていて、厚生省の自主運用はさせてもらえませんでした(今の厚生労働省が年金積立金を自主運用するようになったのは平成13年から)。

また、2003年までは財政投融資という形で公団や公庫などの特殊法人にほぼ自動的にお金が流れていました。しかし、昭和の時代はそういう積立金を使ってインフラを整備したりすることは高度経済成長を後押しした側面があるので、必ずしも間違いではありません。経済が良くなり、積立金も著しく運用益が増えていきました。

だけど自動的に毎回巨額のお金が特殊法人に流れるため、国民に損させちゃいけないという意識が薄れてきました。国民にしては冗談じゃないですよね。

だから2003年小泉内閣の時に財政投融資は廃止されました。もう自動的に資金は流れてこないから、特殊法人は財投機関債を発行して自分たちで資金を調達しなければならなくなりました。

そういえば、年金積立金を使っていろんな施設(グリーンピアとか)に使われたから年金支払いがひっ迫したというようなことが言われたりしますが、年金支払いにはまったく影響を与えていない。それに毎回言うようですが、年金支払いの主な財源は保険料(+基礎年金への毎年11兆円ほどの税金)です。
※参考: 年金財源を昔いろんな施設に使ったから年金の支払いが逼迫したのか(2017年10月有料メルマガバックナンバー)

Next: さて、国民年金は「国民の私たちにも年金を!」という世論がとても高まり――

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