バイデン氏の副大統領候補を徹底予想。日本に与える影響は?

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2020年11月3日実施予定のアメリカ合衆国大統領選挙。トランプ大統領は新型コロナウイルスをめぐる対応への批判が強まり、全米の世論調査の支持率では野党・民主党のバイデン前副大統領がリードしていると伝えられています。まだまだ予断を許さない状況ではありますが、ここへきて注目を集めているのが、バイデン陣営の副大統領候補です。米国在住作家の冷泉彰彦さんは、自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、候補者としてピックアップされている人物たちに言及。プロフィールを紹介していくとともに、独自の目線から副大統領候補者たちを斬っていきます。

決定直前、バイデンの副大統領候補を予想する

今回の大統領選挙ですが、投票日までほぼ3ヶ月となりました。米民主党の事実上統一候補であるバイデン氏が、現職のトランプを大きくリードと伝えられる選挙戦ですが、大きなヤマ場に差し掛かっています。というのは、バイデン陣営としては選挙戦をともに戦う「ランニング・メイト(副大統領候補)」を指名しなくてはならないからです。

そのタイミングですが、陣営からは7月末の発表という話もあり、また8月1日という説も流れたことがありました。そのいずれも、既に過ぎてしまっている中で、現時点では「8月第一週」、つまり今週前半の発表ということが言われています。正に本稿の時点で、いつ発表があってもおかしくないという緊迫した状況です。

そこで、今回は改めて、「バイデンの副大統領候補」について、決定直前の現状において、報じられている状況を改めて確認しておこうと思います。その前に、今回の「副大統領候補選び」の意味合いについて再確認しておきましょう。

まず憲法上、最低限の条件を確認しておくことにしましょう。合衆国憲法により大統領に欠員が生じた、つまり死亡もしくは辞任の際には、自動的に副大統領が昇任します。憲法解釈によれば、その瞬間に大統領になる事になっています。もっと具体的には、仮に出張中の場合であれば、その場所で宣誓をして就任します。

ですから、副大統領候補になるには大統領となれる要件、つまり出生時からの米国市民(ボーン・シチズン)であることと、就任時に満35歳であることは、副大統領の絶対要件とされます。

今回の場合ですが、この「いつでも大統領になれる」ということは、非常に強く意識されています。というのは、大統領候補のジョー・バイデンは現在77歳(当選して就任する時には78歳)と高齢だからです。

多くのメディアは、バイデンが仮に当選したとして、2024年に2期目を狙った立候補を「しない」可能性があり、その場合は、現職副大統領がそのまま大統領候補になる可能性が強いという指摘をしています。実際にバイデン自身が「2期目には出ない」と言ったこともあり(後に否定)、要するに2021年1月に副大統領になるということは、相当程度の可能性として、2025年1月に大統領になることを意味するというわけです。

ところで、話の前提として、大統領選において副大統領候補となるということの意味ですが、「大統領になった人が自分の次席を指名する」というのとはニュアンスが全く違います。「大統領候補と副大統領候補は1つのセット(チケット)」であり、投票用紙には必ずそのように記載されます。

ですから、仮に今回ハリス氏が指名された場合は、そのことに意味があるのではなく、11月の選挙において「バイデン、ハリス組」と「トランプ、ペンス組」が民意の審判を受けることになるのです。

ですから、選挙で勝った副大統領という地位は非常に重いのです。そのために、大統領に「欠格」が生じた際には「瞬間的に」大統領に昇任できるだけの権威を有権者から与えられているということになります。

いずれにしても、今回の副大統領候補というのは、77歳のバイデン氏より大幅に若く健康であること、そして「いつでも大統領や大統領候補として取って代われる」能力と才能を有していることは必須条件となっています。

次に属性についてですが、女性であること、そして有色人種であることに強い期待があります。まず、女性ということでは、バイデン氏としては3月の民主党予備選TV討論で「女性を指名する」と発言しており既成事実化しています。報道によれば、陣営周辺も女性に絞って選考をしているようです。

有色人種、できればアフリカ系ということについては、5月のミネソタ州における白人警官によるアフリカ系男性への暴行死事件以来、BLM運動という形で人種問題が非常に大きなテーマとなっていることから、強い期待感があります。

また、有力候補とされていたエイミー・クロブチャー上院議員が「自分は辞退するが、副大統領候補には是非有色人種の女性を指名して欲しい」と宣言した上で辞退したということも重たい事実です。この発言に対してバイデン氏の周辺から否定的なリアクションがなかったこともあって、一種の既成事実化がされています。

そんな中で、7月末の時点では「ブラック・ウィメン」つまり黒人女性の4名が最終選考に残っているらしいことが伝えられています。その一方で、白人であるエリザベス・ウォーレン上院議員も依然として有力という声もあります。

では、ズバリ誰になるのか、改めて最新の情勢を踏まえて予測をしてみることにします。

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