また文科省か。官僚が主張する「オンライン授業で全て解決できる」の盲点

shutterstock_1682301436
 

新型コロナウイルスの影響で、注目が集まるようになった学校の「オンライン授業」。文科省は、このオンライン授業に「希望を持って進めていこう」と推進しているようですが、そこに待ったをかけるのが無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で、現役小学校教師の松尾英明さん。松尾さんは、オンライン授業で現在の学校教育の問題を解決することは難しいとして、その理由を記しています。

「一人一台タブレット」だけで日本の未来は作れない

次の記事に、共感した。

「オンライン授業が教育現場を救う」という文科省の幻想  前屋毅

もうこれを紹介して読んでもらうだけでもお腹いっぱいになる気がするが、自分の見解も入れる。

前屋氏が言っていることは、私の実感と完全に一致している。私はオンライン、それも双方向授業を何度かやって、そこへの実感がある。

現実の対面で実現できていないことは、オンラインでは到底実現できない。普通に学級経営ができないのであれば、そこで本来実現されるはずの力は、オンラインでは実現できない。当然のことである。

この原則は、あらゆることにいえる。

〇〇があれば、できるのに。

これを言ったら、100%できない。いや、本当はやる気がない、あるいはやりたくないのだと考えて間違いない。

一番わかりやすいのが「お金があったら○〇するのに」である。

そんなことない。大抵の場合、お金の問題は何とかなるのだが、そんなに実現したくない、あるいはする気がないのである。

1人1台タブレット端末がいき渡ったら、本人の興味に沿った個別学習が実現する。学力が向上できる。生き生きとした授業が実現する。

そんな訳ない。1人1台タブレット端末に対応した新たな方法が必要になるだけである。それよりも「簡単」な普通の対面授業ができないのであれば、結果は期待できない。

絶対に勘違いしてはならないのは、今何かがうまくいってないのは、何かの不足や環境のせいではない、という事実である。

自分がうまくいかない時、周りのせいにしたくなる時、いつも自分に問いかけることがある。

「それは、尊敬する○○さんがやっても、日本一の人がやっても、無理か、同じ結果か」

できるに決まっている。○○さんには、歴史上の人物を入れてもいい。そうすると、既に実現しているだけに、言い訳はきかなくなる。

要は、自分次第なのである。色々理由をつけて逃げたくなるが、自分次第なのである。例えば四肢が不自由であっても、自分にできないことを成し遂げる人がいるという厳然たる事実から、逃げることはできない。

GIGAスクール構想自体は、大変結構である。しかしながら、それは現在の学校教育の抱える本質的な問題を解決するには至らない。

何が今の本質的な問題か。これを、教育に携わる全ての人間がそれぞれに考え、答えをもつことが肝要である。

松尾英明この著者の記事一覧

『まぐまぐ大賞2014[無料部門]教育・研究』の大賞受賞メルマガ。実践例を通して、教育観を磨きながら、具体的な手法にもふれていきます。「教育を志事にする」を信条に、真に役立つ実践的な情報だけを厳選してお伝えします。教育関係者を中心に、子どもに関わる全ての方々に向けて発信します。登録・解除ともにすぐできますので、ご一読よろしくお願いいたします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術 』

【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

print
いま読まれてます

  • また文科省か。官僚が主張する「オンライン授業で全て解決できる」の盲点
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け