妻が離婚調停で圧勝する「限界エピソード」の作り方。プロの答えは?

shutterstock_655900273
 

ここ最近、増えつつあるという「熟年離婚」ですが、長年連れ添っていたこともあって相手がなかなか同意してくれないケースも多いといいます。家庭裁判所へ離婚調停を申し立てる場合、どうしたらスムーズに離婚の同意を得ることができるのでしょうか? 開業から6年で相談7,000件の実績を誇る「離婚のプロ」、行政書士の露木幸彦さんが発行する無料メルマガ『10年後に後悔しない最強の離婚交渉術』では、露木さんが過去の事例をもとに、離婚に応じない相手を納得させる方法や、離婚調停で絶対に間違えてはいけない「順番」についてアドバイスしています。

エピソードの「優先順位」が、離婚同意の決め手となる

結婚が自己責任なら離婚も自己責任。結婚生活をやめたいのなら人任せにせず、自ら相手と直談判するのが第一です。

しかし、あらゆる方法を用いても相手を説得できないのなら、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てることを検討しなければなりません。

統計(厚生労働省の人口動態統計、2016年)によると離婚全体(21万件)のうち、家庭裁判所の調停を通じて離婚したケースは10%以下(2万件)に過ぎません。

85%の夫婦は裁判所を介さずに離婚するのに(協議離婚)、調停に頼らざるを得ないのです。そして調停を申し立てても実際に成立するのは全体の半分(54%。裁判の迅速化に係る検証に関する報告書)で、残りの46%は結論が出ずに終わるのが現状ですが、どうしたら成功する54%に入れるのでしょうか?

離婚事例:延々と人生相談をするタイプ

例えば、養育費の調停で必要なのは収入や支出、家族構成などです。

(子どもとの)面接交渉の調停で必要なのは日時や場所、送迎方法などですが、離婚の調停で必要なのは離婚に結びつくエピソードです。

それなのに嫌悪感、不信感を爆発させ、相手の悪口や愚痴、不満などを言いっ放しにすると調停委員は怪訝な顔をします。

嫁への罵詈雑言を喜々として聞くのは姑ぐらいですが、調停委員は夫の母親ではありません。

自分は何の調停を申し立てたのかを思い出しましょう。

若宮綾乃さん(61歳。仮名)の夫(62歳)が家で食事をとらないのは日常茶飯事ですが、それだけで綾乃さんが離婚を決断したわけではありません。

毎日、帰宅するとキッチンには食器やフォーク、リビングにはクリーム、洗濯機には衣服が散乱している状態で、毎日のように綾乃さんが片付けざるを得なかったのです。

「ふざけないで! いい加減にしてよ。何回言ったら分かるのよ!」と叱責しても、夫は綾乃さんの声をスマホで録音する有様。

「ああ、怖い怖い。ちゃんと証拠とったから」と言うばかりで、汚部屋生活は変わりませんでした。

ほとほとあきれ果てた綾乃さんが「それなら離婚よっ!」と言い放っても、夫は「あんたは俺の努力の上に胡坐をかいて、ぜんぜん有難みが分かっていないんだ!」と感情論にすり替えるので、離婚の話に本腰を入れるのは無理な状況でした。

綾乃さんはやむを得ず離婚調停を申し立てたのですが、調停委員に「関係を修復する余地がないから離婚しかない」と思ってもらえるようなエピソードを選ぶことが大事です。

家事を手伝わない夫が何かの拍子に手伝い始める可能性がゼロだと言い切れません。

「夫がやらないのなら妻がやればいい」と言われたら、離婚ではなく修復の方向へ進む危険もあります。

調停委員の素性は様々ですが、すでに定年退職した元公務員が多い印象です。そのため「(妻の)我慢が足りない」と先達から説教じみたお叱りが飛んでくるでしょう。

print
いま読まれてます

  • 妻が離婚調停で圧勝する「限界エピソード」の作り方。プロの答えは?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け