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なぜ日本人は「紙の銀行通帳」が好き?島国の消えない記憶と不安

みずほ銀行が2021年1月から、70歳未満の顧客が新規口座を開設した際に通帳発行を希望した場合、1冊あたり1,100円(税込)の手数料を取ること決めたというニュースが、波紋を呼んでいる。

各社の報道によると、今後は原則としてデジタル通帳「みずほダイレクト通帳」を提供し、従来の紙の通帳は希望者のみに発行するとのこと。もし来年1月以降新たに口座を開設した場合、開設時だけでなく、その後も通帳を繰り越して追加の発行を受ける場合も、同額の手数料がかかるという。

ただし、すでに口座を持っている顧客は有料化の対象外。また70歳以上の顧客も、スマホの利用率が低いことなどを考慮して、従来通り紙の通帳が無料で配られるという。

みずほ銀行のリリースによると、今回のこのデジタル化推進は、近年の顧客ニーズの変化や新型コロナウイルス感染症による「新しい生活様式」に対応するためとしており、他行がこの動きに追随していくことは大いに考えられそうだ。

賛否が分かれるネット上の反応

この報道に対し、ネットでは賛否双方の意見が飛び交っている。

「もう何年も通帳に記帳してない」と、実際に紙の通帳を最近ほとんど使っていない方からは、この動きに対しておおむね賛成だという意見が。特に、今回の手数料導入にあわせて、デジタル通帳で過去10年分の取り引き履歴が確認できるようになることを高く評価する声が多く見られた。

いっぽうで、紙の通帳はやっぱり必要だという意見も、様々みられた。

紙の通帳必要派の声のなかで結構多いのが、このように通帳に鉛筆などでメモ書きして使っているという方々。確かに、これは紙でないとできない活用法ではある。今後普及していくデジタル通帳などにも、同じような使い方ができるような機能が実装できないものか、検討していただきたいものである。

また、あまりにもデジタル偏重の流れが進むと、震災などの非常時に詰んでしまう、といった意見も。東日本大震災からまだ10年も経っていないわけで、その時の困ったという記憶がまだ鮮明という方も多いようだ。

デジタル化は来るべき「預金封鎖」への布石?

「もしもの事態に対する備え」といえば、MONEY VOICE読者の皆様ならピンと来るかもしれないのが、ある時突然やってくるかもしれない「預金封鎖」である。

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【関連】不意打ちでも安心!? 「預金封鎖」に対抗して資産を守り抜く方法=東条雅彦

紙という形で残る通帳を廃してデジタル化を進める流れというのは、様々な論者が指摘しているように、来るべき預金封鎖への布石である。……視線を変えれば、そのように言えるのかもしれない。

現に、国民一人一人の資産状況把握に欠かせないマイナンバー制度に関しても、先の特別定額給付金での活用や最近のマイナポイント事業など、普及推進の動きがここにきて顕著で、そう考えるととても不気味である。

株ブロガーとして知られる東条雅彦さんは、先に挙げた記事の中で預金封鎖のリスクを大幅にヘッジする対策として、「『円』のポジションを下げて、他の資産(株式・不動産・ゴールド等)のポジションを上げておくこと」「2週間~1カ月程度を凌ぐための現金を保有しておくこと」をアドバイスしている。今後、預金封鎖が実際に起きるかどうかは何とも言えないが、少なくとも通帳のデジタル化に一抹の不安を感じる方には、これらの備えは参考になるのではないだろうか。

Next: 「紙の通帳はやめられない」「様々な場面で重宝」紙派の主張は?

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