マーケの基本問題。なぜ釜揚げうどんの器に「○○○」を使った店が繁盛?

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繁盛店として成功するためには、もちろんその道における確かな技術は必要不可欠ですが、それだけではなかなかブレイクできないのが現状でもあります。自店に足を運んで頂くため、打てる手はないのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、ユニークなメニューでお客様の心をガッチリ捉えているとあるお店の例を挙げつつ、繁盛の秘訣をレクチャーしています。

“目立つこと”を躊躇してはいけない

博多のうどん屋さんに、「やかんうどん」と呼ばれるメニューがあります。釜あげうどんの器に「やかん」を使っているだけで、正式名称は「釜あげ ずぼら」と言います。

一般家庭ではあまり使わなくなった、アルマイトの大きなやかんに、うどんとお湯が入っていて、そのままお客さまに提供されます。眼の前にやかんを置かれたお客さまは、驚くと同時に、笑うしかありません。

これが店主の狙いであり、このお店の“売り”でもあるのです。ただ目立つだけのバカげたことかもしれませんが、マスコミにも注目され、お客さまは面白がっているのです。

生真面目な人なら、ふざけているだけだと思うかもしれませんが、この奇をてらったことこそが、お店が繁盛している要因なのです。

奇をてらったから流行ったのではなく、元々美味しいお店なのです。ただ、美味しいだけでは注目されないので、奇をてらうことで、“目立った”のです。「やかんうどん」が名物となり、どんどんお客さまが増えていったのです。

“目立つこと”は大切です。知らなければ、お客さまも来ないのですから。

また、神戸元町に「イスズベーカリー」という、老舗のパン屋さんがあります。パン・ド・カンパーニュやバゲットといった、オーソドックスな主食パンを作り続け、人気があります。

このお店に、「トレロン」という、長さ80センチのフランスパンがあります。中には、驚くことに、長さ75センチの太いソーセージが入っています。惣菜フランスパンとでも言うのでしょうか。

従来、このようなパンは作っていませんでしたが、店主の遊び心で作ってみたら、話題になったのです。店主曰く

「うちは奇をてらったものは作らない店ですが、お客さまに喜んでもらいたいと思って、作りました」

確かな技術力で、確かな商品を作り続けるのが、モノづくりの老舗ですが、新しいチャレンジも必要です。伝統を守りながらも、お客さまに飽きられない話題を提供すること。そんな遊び心が大切なのです。技術力があるので、味は確かです。お客さまも安心して、買っていかれます。

よく巷のパン屋さんでは、“変な発想”で奇をてらったパンを作っているのを見かけますが、美味しくはありません。一度買うと、二度とは買わないパンばかりです。次から次へと、変なものを作っています。おにぎりを中に入れたり、下手なアンパンマンの顔を描いたりします。そんなことは、大手のメーカーに任せればいいのです。

しっかりとした基盤が無いのに、奇をてらったものを作っていては、客足が遠のくだけです。まずは、定番品からです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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