岡口判事を戒告 懲戒、異例の2度目―FBに不適切投稿・最高裁

2020.08.26
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by 時事通信


岡口基一判事

岡口基一判事

 自身のフェイスブック(FB)に殺人事件の遺族を侮辱する投稿をしたとして、懲戒申し立てを受けた仙台高裁の岡口基一判事(54)の分限裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は26日、「国民の信頼を損ね、品位を辱めた」と判断、岡口判事を戒告とする決定をした。同判事は2018年にもツイッターへの投稿で戒告とされている。同じ裁判官が2度懲戒されるのは異例。
 決定などによると、岡口判事は19年11月12日、自身のFBに、東京都江戸川区で高校3年岩瀬加奈さん=当時(17)=が殺害された事件について投稿。遺族が同判事を国会の裁判官訴追委員会に訴追請求したことに触れ、「遺族は俺を非難するよう洗脳された」などと書き込んだ。
 決定は「遺族をさらに傷つけ、副次的な被害を拡大させた。被害者の心情を理解できない裁判官ではないかとの疑念を広く抱かせた」と指摘。判事側は「訴追請求に対する自らの見解の表現行為」などと反論したが、大法廷は「遺族を侮辱する表現は許されない」と退けた。
 投稿したのは岩瀬さんの命日で、遺族の抗議を受けた仙台高裁が今年1月、最高裁に分限裁判を申し立てた。同判事は東京高裁所属だった17年にも同事件についてツイッターに「無惨(むざん)にも殺されてしまった」などと投稿して厳重注意を受けている。
 岡口判事は18年10月、自身が担当していない飼い犬の所有権に関する民事訴訟について、当事者の感情を傷つけるような投稿をし、「表現の自由を逸脱した」として戒告処分を受けた。こうした投稿をめぐり、裁判官訴追委も罷免を求めて弾劾裁判所に訴追するか否かを審議している。
 仙台高裁の話 当高裁所属の裁判官が戒告とされるに至ったことは遺憾。重く受け止めている。(2020/08/26-21:34)

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