裏切りの菅義偉「安倍降ろし」への秘めた思惑とは?二階氏と急接近、TV出演で攻勢

arata20200827
 

首相の健康不安で「ポスト安倍」に世間の関心が高まる中、菅義偉官房長官が存在感をアピールするかのようにテレビ出演を重ねています。その「思惑」はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、菅官房長官への急接近ぶりを見せつけている二階幹事長をキーパーソンに挙げつつ、この時期に菅氏がテレビ生出演を繰り返す理由を考察しています。

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8月、テレビに出まくる菅官房長官の胸の内

おそらくこの8月ほど、菅義偉官房長官が頻繁にテレビ番組に生出演したことはなかったのではないだろうか。筆者が知っているだけでもこれだけある。

1日:日本テレビ系列「ウェークアップ!ぷらす」
2日:NHK「日曜討論」
18日:BS日テレ「深層NEWS」
21日:テレビ朝日「報道ステーション」

いうまでもなく官房長官は内閣のスポークスマンである。「原則として月曜日から金曜日に、午前と午後の2回、定例会見をおこなっている」と、官邸のサイトに書いてある。その一場面がしばしばテレビで放映されるため、いつも飽きるほど見ている顔だ。

とはいえ、内閣ナンバー2の権力者のおでましとなると、スタジオの空気感も日頃とは違う。それに、ニュース用の断片映像よりも、生出演のほうがより正確で、はるかに多くの情報が伝わってくる。キャスターの力量や質問の仕方などによっては、会見では聞けない話が飛び出すことだってありうるだろう。

それにしても、この8月の生出演回数は、異例の多さだ。菅長官は自身のブログやツイッターなどで、テレビ番組出演の「お知らせ」を掲載しているが、それによると、この1年に8回ほど生出演しており、うち4回が今年の8月に集中している。

直近の4回、いずれもテーマはコロナがらみ。出演を依頼するテレビ局側にすれば、後手にまわりがちな感染防止対策や、アベノマスク、GoToトラベルキャンペーンなどズッコケ政策について官房長官の見解を聞くという狙いはもちろんあるだろう。だが、多分それだけではない。

テレビ局側の関心と、菅官房長官の秘めた思惑が、この時節、はからずも一致したということではないか。

メディアが今、最も関心を持っているのは「ポスト安倍」の動きだ。安倍首相の体調が芳しくないのは誰の目にも明らかで、しかも、内閣支持率はさまざまな疑惑、不祥事、失政が重なって急降下、いまや保守層からも見限る声が出てきつつある。

来年9月の総裁任期切れを待たず、安倍首相が自ら退陣するという観測が流れるのも仕方がない状況だし、たぶんそうなるだろう。あの顔色、目や声の力のなさ。解散総選挙などできそうもない。9月に予定される内閣改造も危ぶまれるほどだ。

退陣となると、誰が次の総理になるのか。石破か、岸田か、河野かと世評の高名前が出てくるが、いずれも毛並みのいい世襲政治家ばかり。コロナ禍がいつ終息するかも見通せず、健康不安と経済的打撃がこれからも長々と続くことを思えば、誰がトップになろうと、国民の不平、不満を背景にした激しい政権バッシングを覚悟しておかねばならない。たとえ堕落しきった現状より誠実であっても、ひ弱な政権になっては、とてもじゃないが、もたないだろう。

その観点からいくと、政治家秘書、地方議員から、のしあがってきた菅義偉氏が打たれ強い政治家ということになるのだろうか。二階俊博幹事長が自分と同じ“たたき上げ”の菅氏に目をつけたのは無理からぬことといえる。

むろん、二階氏が菅氏に惚れ込んでいるわけではない。彼の政治活動の眼目はご多分にもれず、利権であり、勢力拡大だ。おそらくは、次期政権でも幹事長の座について党内ににらみをきかせたいのだ。6月17日と7月1日に続き、8月20日にも、二階幹事長は菅官房長官と会食し、急接近ぶりを党内外に見せつけている。

だが、前の2回と、8月20日では話の流れが大きく変わったと推察する。

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