改憲や拉致、成果なく 安倍首相宿願「解決を」―北方領土交渉に批判も

2020.08.30
0
by 時事通信

 首相は、拉致被害者の早期帰国、北方領土返還を最重要課題に掲げ、悲願の憲法改正にも取り組んだが、めぼしい成果は得られず、志半ばの辞任表明となった。
 「返す返すも残念。病気が(続投を)許さなかった」。改憲を目指す「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の田久保忠衛共同代表(87)は「(首相は)任期中にやるつもりで『見ていてくれ』と言っていたが、衆参両院の憲法審査会で野党が一切審議に応じず、自民党にも改正に消極的な議員がいる」と無念さを募らせた。
 一方、国会前で抗議活動を続けた市民団体「未来のための公共」の中心メンバーだった馬場ゆきのさん(23)は「安倍さんが辞めても明るい未来が来る保証はない」と強調。改憲反対を主張し、集団的自衛権の限定行使を認めた安全保障関連法の廃止などを訴え続けるという。
 今年、拉致被害者の有本恵子さん=拉致当時(23)=の母嘉代子さんと、横田めぐみさん=同(13)=の父滋さんが死去。帰国が実現していない被害者の父母で存命なのは、めぐみさんの母早紀江さん(84)と恵子さんの父明弘さん(92)の2人となった。
 田口八重子さん=同(22)=の兄で「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」の飯塚繁雄代表(82)は「長期化する中で家族も亡くなり、相当切羽詰まっている。次期政権では必ず解決に導いてほしい」と望んだ。
 北方領土問題で、首相はロシアのプーチン大統領と会談を重ね、歯舞、色丹両島の先行返還にまで踏み込んだが、解決は果たせなかった。「千島歯舞諸島居住者連盟」の野口繁正副理事長(78)は「頑張ってくれてロシアと歩み寄れたが2島先行は妥協だった。次期政権にも期待感は薄い」。歯舞群島・多楽島出身の河田隆志さん(83)は「期待したほどでないにせよ、返還への道筋はできてきた。対話を続ければ平和条約締結までこぎ着けられる」と話した。(2020/08/30-07:11)

print

人気のオススメ記事