日銀、大規模緩和継続へ コロナ禍で資金繰り支援―安倍首相辞任

2020.08.30
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by 時事通信

 日銀は、安倍晋三首相の辞任後も、看板政策「アベノミクス」の下で進めてきた大規模な金融緩和路線を当面継続する見通しだ。新型コロナウイルスの収束が見通せない中、企業の資金繰り支援に全力を挙げる。ただ首相交代で、政府が任命する日銀の人事に変化が出てくる可能性がある。
 デフレ不況からの脱却を公約に掲げた安倍首相の要請で、日銀は2013年1月に2%の物価目標を導入した。首相が任命した黒田東彦総裁は就任直後の13年4月、国債を大量に買い入れて資金を供給する「異次元の金融緩和」を断行。アベノミクスのけん引役として円高の是正や株価の上昇を演出してきた。
 ただ、当初「2年程度で達成できる」(黒田総裁)と自信を示した2%目標は実現できていない。さらにコロナ感染拡大を受け、日銀は物価上昇の勢いはいったん失われたとみている。
 みずほ総合研究所の門間一夫エグゼクティブエコノミスト(元日銀理事)は「少なくともコロナ禍が収束するまでは緩和路線の修正は困難だろう」と指摘。ある日銀幹部は「首相が誰になろうと、日銀の政策には影響ない」と強調している。
 一方、安倍政権は、金融政策を決める日銀の政策委員会メンバーについて、積極緩和で物価上昇を目指す「リフレ派」を重用してきた。安倍首相の辞任表明を受けて、2年以上の任期を残す黒田総裁自身の去就をめぐる臆測も市場の一部でくすぶり始めている。首相交代により日銀の幹部人事が注目を集めそうだ。(2020/08/30-07:12)

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