人材派遣大手の「パソナグループ」は8月31日、東京本社の主要機能を兵庫県・淡路島に移す方針を明らかにしました。営業や人事などの社員約1000人を2021年春までに異動させる方針です。このニュースを受けて、メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、新聞各紙の過去のデータベースから「パソナ」関連の記事を比較。その結果、読売新聞からパソナをめぐる「持続化給付金」について、ある傾向が炙り出されました。内田さんが、その理由と傾向について鋭い指摘を記しています。
「パソナ」不祥事をことごとく無かったことにする新聞の名
今朝(9月1日)は各紙、人材派遣大手パソナが本社機能を淡路島に移すというニュースを掲載しているのですが、パソナに関してニュースサイトから検索されて出てくるニュースはどんな内容なのか、ちょっと調べてみたくなりました。ということで、きょうは各紙ニュースサイトのデータベース比較を敢行します。
というわけで、各誌ニュースサイトのデータベース上の「パソナ」に焦点を合わせます。
ヒットした件数と範囲
まず、記事の件数を比較しましょう。各紙ニュースサイトの検索機能で単純に「パソナ」で検索してみた結果です(本日の10時過ぎ時点)。
《朝日》……142件
《読売》………36件
《毎日》……234件
《東京》………37件
※《朝日》と《毎日》が圧倒的に多いことかが分かります。データベースの性質にもよりますが、その点について今朝は触れないでおきます。《朝日》の場合、一番古い記事は、2015年9月26日更新で、4年11カ月前のものでした。《毎日》はもっと古く、2014年7月1日付けで、6年以上前のもの。
※《毎日》は検索結果ページのどこを見てもヒットした記事の件数が出ておらず、19ページに分かれていたものを一つ一つ数えて234件となりました。
※《読売》の一番古い記事は2018年5月30日で2年3カ月前、《東京》は2019年7月28日で1年1カ月前と新しいものでした。
記事の内容
まず、記事のなかに、パソナに所属している陸上選手で女子100メートルハードルの日本記録保持者、寺田明日香さんの記事がかなりたくさん含まれていること、また、《毎日》は著名な文学賞の1つである織田作之助賞を、大阪市や関西大学、そしてパソナなどとともに運営している関係で、同賞受賞のニュースが非常に多いということがあります。こうしたものを取り除いて、ジャーナリスティックにパソナの動向や問題を取り上げた記事に純化してみると、件数は一挙に少なくなります。
特に、新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」制度などを巡る委託事業の丸投げと中抜き疑惑に関して、電通と共にパソナの名が挙がった件については、扱いにハッキリとした差が見られました。
各紙、この問題について取り上げた記事を「パソナ」と「持続化」で検索すると以下のようになります。
《朝日》………34件
《読売》…………0件
《毎日》………30件
《東京》………23件
《読売》は、「持続化」だけで検索すると、602件もヒットするのですが、「パソナ」を条件に加えると1件もヒットしなくなります。これらのことから、《読売》は他紙と違い、持続化給付金の問題について書いた記事に、パソナの名を出していないということが分かりました。理由は分かりませんが、0件ということは、明確な方針に基づいて「載せない」判断をしていることを示しているのではないでしょうか。
以上、いかがでしたでしょうか。検索の条件については各紙様々ですので、一度、その点だけを比較しておかないといけないですね。