熊本市交通局が、市内を走る路面電車の熊本市電に「女性専用車両」を試験的に導入することを決めたと報道されたことが、ネット上で波紋を呼んでいる。
記事によると、試験運行が行われるのは9月14日~12月28日の平日朝の通勤・通学時間帯。導入するのは2両編成の全低床車で、進行方向に対し後方の車両を女性専用にし、女性以外には小学生以下の男児や障害者とその介助者の男性も乗車できるとのこと。
熊本市電ではこの3年間で年平均6件の痴漢・盗撮被害があり、「導入してほしい」という声が女性客から寄せられていたという。
もう男女別で良いのでは?
大都市圏にある路線では、今や当たり前の存在となった女性専用車両。それが今回の導入に関しては、どうして話題になっているのかというと、前述の通り対象となるのが2両編成である点。つまり1編成の半分が女性専用になるというのだ。
路面電車にも女性専用車…熊本市電の低床車に試験導入 9月14日-12月28日https://t.co/UBM6pN0lIV
え!2両編成中1両が女性専用なの?乱暴すぎる。だったらもう1両は男性専用にしなきゃダメじゃないのかねー。— ⭐️🐬y_rufus_w⭐️⭐️ (@yw_football_jp) September 3, 2020
ん?2両編成で女性専用車両導入するの?
もう、男車両と女車両って書いて男女別で良いのでは?熊本市電に路面電車初の「女性専用車両」 痴漢・盗撮対策 2両編成の後方 #ldnews https://t.co/hSD2TsVukB
— ねこおぢ3 (@necoodi3) September 4, 2020
これに対してネット上では「これは乱暴すぎる」「もう男女別で良いのでは?」といった、至極真っ当な反応があふれる結果に。なかには「車両を男女に分けて動く更衣室にでもしたら」といった、突飛な意見も見られた。
熊本市の市電で女性専用車両が試験運行されるそうですがこれは悪質な男性差別です。
男性専用車両があればまだ許せますが、2両編成だと男性専用車両を作れないので、これは一切妥協の余地はありません。— トランスジョキュ (@thedark88) September 3, 2020
「2両編成で女性専用車を導入するのは男性差別だ❗️」って人権団体が動き出すべき案件。
路面電車にも女性専用車…熊本市電の低床車に試験導入 9月14日-12月28日(レスポンス) https://t.co/R76BADZ2i5
— kta (@kta13kta) September 2, 2020
また、このように「男性差別だ」といった声もあがる結果に。性差別を無くそうという声が世界的にも大きくなっている昨今だが、それに対し「結局は女性優遇じゃないか」とヘイトを貯める男性たちも、これには敏感に反応した形だ。
運転士さんも可哀想…
いっぽうで、実際に利用する地元の方や鉄道に詳しいマニアからは、「実際問題、導入できるものなの?」という声もあがっている。
路面電車にも女性専用車…熊本市電の低床車に試験導入 9月14日-12月28日(レスポンス)
バカじゃないの?w
正気の沙汰とは思えんw
たった2両の車両で半分女性専用車とかww
日頃から乗客積み残し指摘されてるのにw
批判殺到間違えなしやな😭#Yahooニュースhttps://t.co/MEv3RuWL6J— もん じゃぱーん (@JAPAN5410A) September 2, 2020
https://twitter.com/ktr5104/status/1301075185605304320
確かに10両近い編成の中の1両であれば、乗客も分散されて問題なさそうだが、2両編成のうち半分が女性専用になると、片方はガラガラ、片方は大混雑といった状況も容易に考えられそうである。
また導線の問題だが、熊本市交通局のサイトを確認すると、熊本市電は通常、車両中程・後方のドアから乗車し、運賃箱のある車両前方のドアから降りる方式。車両の左右複数か所に乗降できるドアがある一般的な電車とは異なり、イメージ的には路線バスに近い乗り降りの仕方で、果たしてスムーズに乗客を分けられるのかという疑問は、当然出てくるだろう。
そして、この「女性専用車両」の導入によって、現場の運転手にさらに負担がかかるのではという声も。
乗降はどうなっているんでしょうね?
熊本市電は基本的に後乗り前降りだったと思うのですが、降車時に女性客も前車から降りるのはいいとして、乗車時に男性客は前車の出口から乗るのか、女性専用車の後車の入口から乗って速やかに前車へ移動しなさいってことなのか?— あおんぼ🐾 (@ktr5104) September 2, 2020
先の記事によると、熊本市交通局は「あくまで任意の協力をお願いするもので、性別によって乗車を拒否するものではない」とし、男性客に協力を呼びかけるが、女性専用車両に男性客が乗車しても乗務員が直接注意することはない、とのこと。ただし、男女乗客の間で無用の諍いが起こる可能性は大いに考えられ、その度に乗務員が対応する必要に迫られていては、定時運行が保たれるかどうかも危ういところだろう。
熊本市交通局によると、試験期間中にアンケートを実施し、本格導入するかどうかを検討するとのこと。もちろん、女性利用者からは期待する声もあがっており、男女問わず快適な車内環境を作るためのひとつの策であると思うが、それにしてもある意味で画期的な「2両編成のうち1両を女性専用車両」というプラン。実際に成立するものなのか、興味深いところである。
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