『半沢直樹』が“土下座部屋”や居酒屋に恩返し。ロケ地ビジネスの効果は上々

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前作に続き社会現象の様相を呈している高視聴率ドラマ、TBS日曜劇場『半沢直樹』。ストーリーやセリフに注目が集まる中、作品に登場するロケ地も大きな話題になっています。あの大和田常務が土下座した部屋は、半沢と渡真利がランチを食べた居酒屋は、あの美人女将がいる小料理屋は、一体どこにあるのでしょうか? フリー・エディター&ライターでジャーナリストの長浜淳之介さんが、いま話題の『半沢直樹』ロケ地を取材。コロナ禍の苦境に喘ぎながら、人気ドラマの恩恵を受けた飲食店の「生の声」をレポートしています。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

施されたら施し返す、ロケ地の飲食店に「恩返し」だ!

平均世帯視聴率が初回から8話連続で20%超えと、大ブームを起こしているTBS日曜劇場「半沢直樹」。ドラマの反響の大きさ、さながらに、ロケ地になった飲食店を訪れる人が増えて、コロナ禍で集客減に悩むお店に恩恵をもたらしている。

海鮮が売りの創業37年となる老舗居酒屋「おさかな本舗 たいこ茶屋」(東京都中央区)では、「夜の営業ではこれまで6時を過ぎなければお客様が来なかったが、オープン直後の5時代から来店する人が増えている」と効果を実感。2013年版の放送では、大和田暁常務が土下座をした部屋で有名になった学士会館(東京都千代田区)にある4つのレストランでも、「特にお昼のお客様が目立って増えた」と喜んでいる。

聖地「たいこ茶屋」では半沢関連イベントも開催

「たいこ茶屋」はこれまでも「半沢直樹」の2013年度版、映画「ヲタクに恋は難しい」などのロケ地となっており、昼間の時間帯をテレビや映画のロケに貸し出している。

「たいこ茶屋」外観

「たいこ茶屋」外観

同店は、広い京葉道路に面しておりロケバスを停めやすい、ビルにエレベーターが付いているので機材を搬入しやすい、地下1階にあるので昼でも太陽の光を気にせずに撮影できる、などといったロケ地としてのメリットがある。

今回の「半沢直樹」では、第2話に登場、また20日(日)に放映される第9話にも再登場する予定だ。

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たいこ茶屋の店内には半沢直樹シートを設置

その「たいこ茶屋」では、今月20日に店内で半沢直樹「パブリックビューイングイベント」を、20時~22時で開催する。ソーシャルディスタンスを考慮し、30組限定のイベントとなっている(電話にて予約を受付中:03-3639-8670))。価格は、懐石料理風に仕立てた個別盛り料理に飲み放題が付いて5,000円(税抜)、お子様は半量で半額の2,500円(税抜)だ。

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たいこ茶屋を訪問した、「半沢直樹」キャストのそっくりさんたち。右から2人目が大将、嵯峨完氏。

当日は、まず料理が運ばれて、空腹を満たしてから、物真似芸人の集団「チーム半沢」が登場。半沢直樹、中野渡謙頭取、黒崎駿一金融庁主任統括検査官、白井亜希子国土交通大臣のそれぞれのそっくりさんが、イベントを盛り上げる。そして、店内に設けられた、大画面を含む4台のテレビモニターを通して、21時からドラマを鑑賞。最後にジャンケン大会を行い、勝者には豪華景品が当たるという。

店内には「半沢直樹」主演の堺雅人さんや福澤克雄監督のサインが

店内には「半沢直樹」主演の堺雅人さんや福澤克雄監督のサインが

「チーム半沢」のメンバーたちは、元々普通に顧客としてプライベートで「たいこ茶屋」を訪れていた。店内で毎日開催されるジャンケン大会で、「そっくりだ!」、「顔芸が面白い」と評判になり、スケジュールが空いた時に、ゲストで呼ばれるようになったのだ。最近は週に3日ほどサプライズで来店して、顧客を喜ばせている。

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「半沢直樹」物真似集団の「チーム半沢」

「黒崎そっくりさんのおねえトーク、半沢そっくりさんの『感謝と恩返し、そしてコロナに倍返しだ!』のセリフも楽しんでいただけるでしょう」と、経営するYTフーズ代表取締役・井上多恵子氏は「チーム半沢」の顔芸やコントに太鼓判を押している。

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「たいこ茶屋」では緊急事態が始まる前から、新型コロナ感染を防ぐ3密(密閉・密着・密接)回避に注力。入店の際に検温とアルコール消毒を行い、37.5℃以上の人は入店を控えてもらっている。また、ランチバイキングでは、料理を取り分ける際に、マスクとビニール手袋の着用を徹底。ディナーではテーブル会計を行っている。

たいこ茶屋、お昼の海鮮バイキング

たいこ茶屋、お昼の海鮮バイキング

換気の面でも、入口の開放、新型コロナにも効果があるという、プラズマクラスター大型空気清浄機を3台設置。各テーブルには飛沫防止シートを配置、他のグループと相席させないソーシャルディスタンスの徹底などに取り組んでいる。

そうした成果で、ランチバイキングも連日のように満席になるほど、集客を回復している。

【関連】『半沢直樹』ロケ地で脚光、あの老舗居酒屋のコロナ生き残り戦略とは?

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