子供の成績が思ったように上がらないとなれば、親としては一言本人に言いたくなってしまうもの。しかしながらそんな時には注意が必要なようです。今回の無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』では、子供の勉強への意欲を弱めてしまう危険性がある、「NGな声かけ」を紹介しています。
成績が上がらない
先日、「100点テストの褒め方」という内容をお届けして以来、子どもの学業・勉強に関するご相談を多くいただくようになっています。
● 子どもが100点取っても「すごいね」と言ってはいけないのは何故か
その中で、一定数を占めるのが、「100点どころか、むしろ成績が良くないのですが…」「ゲームばかりしていて、ぜんぜん勉強しない」など、子どもの学業不振についてのご相談。
今回から、そんな時の接し方についてお伝えします。「やってはいけないこと」「やってあげたいこと」がいくつかありますので、数回に分けてお届けしますね。
まず最初にご紹介したいのが、ある中学生の声。私も賛助会員として支援している「チャイルドライン」という団体の報告書に掲載されたものです。
試験の成績が上がらない。親は「勉強しないから、ゲームばかりしているから」と怒る。がんばってるのに、わかってくれない…勉強の仕方がわからなくなったもう嫌だ…。
ここでお伝えしたいのは、子どもの学業不振に直面した時に、その原因・理由・問題点を一方的に決めつけてはいけない、ということ。その理由は、
- いきなりダメ出しされると、次から言い出しにくくなる
- 親が分析してしまうのではなく、自分で原因を考えさせたい
- そもそも、親の分析が当たるとは限らない
など、いくつもありますが、最大の理由は
- 子どもが改善に向けて進めなくさせてしまう
から。子どもの成績が上がらないのを見て、心配になってしまう気持ちはよくわかります。一方で、子ども本人は呑気にゲームをしている…そんな状況であれば、厳しく言いたくなるのも当然です。
ですが、ここで頭ごなしに「ゲームばかりしているから!」と言ってしまうと、子どもへは親の意図とは違うメッセージと影響が届いてしまうのです。
子どもは子どもなりに、勉強している時間もあるかも知れません。まったく勉強していない子も、「しなきゃいけないよな…」との意識はあるはず。そんなところに「ゲームばかりしているから!」との厳しい言葉を受けると、子どもとしては「がんばっている時もあるのに、認めてくれない」「やらなきゃという気持ちはあるのに、わかってくれない」との思いを抱くことになります。
もちろん、現時点の子どもの取り組みが不充分だから、成績が上がらないという厳然たる事実は存在します。ですがそれでも、この言い方は不適切なのです。なぜなら、自分の中の前向きな部分を認めてもらえないことで、子どもの中の“勉強への意欲”はさらに弱まってしまうからです。その結果、子どもから漏れてくる言葉は、次のようなものになります。
「どう勉強していいか、わからなくなった」
→改善の方法を見失ってしまう
「自分は頭が悪いから、勉強しても無駄」
→前に進む意欲が失われる
「自分のことが嫌いになってきた」
→自己肯定感まで損なわれてしまう
もともとは、「勉強もがんばって」という親心から出てきた言葉なのに、実際に生まれる結果がこれでは、あまりに悲しいですよね。瞬間的に言いたくなる気持ちを抑えて、「どうすれば、この子を支えてあげられるかな?」との発想を意識してあげていただけたら、私もうれしいです。
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