韓国でも自営業者への支援がまったく足らない状況で、実に59%が廃業を考えているという。財政難で追加支援が望めぬ今、ここから廃業ラッシュが起こる危険がある。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年9月20日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ソーシャルディスタンス2.5段階措置とは
今回は新型コロナウイルスの感染拡大によって致命的な損害を受けている小商工人(小規模の個人事業者)への、韓国政府による緊急災難支援金について特集する。
まず概要を説明すると、首都ソウルを中心にコロナ感染者数が急増したことで、韓国政府は「ソーシャルディスタンス2.5段階措置」というものを行った。
これがなかなか厳しいもので、主な制限を列記しておく。
1. フィットネスセンターやビリヤード場、ゴルフ練習場など、規模と関係なくすべての室内体育施設に対しては集合禁止措置。高危険群である高齢者が多い首都圏の療養病院と療養施設は面会が全面禁止。
2. 首都圏内のすべての飲食店や菓子店に対し、夜9時から翌日午前5時まで室内での飲食は禁止。テイクアウトと配達のみ可能。特にフランチャイズ型コーヒー専門店については、室内飲食は24時間禁止され、テイクアウトと配達だけが許容される。
これによって、ただでさえ雀の涙であった内需が壊滅。さすがにこれは厳しいと批判が殺到するも、韓国政府は強硬してコロナを阻止しようとしたのだ。
そして、一定の成果は出たようで、どうやらソーシャルディスタンス2.5段階措置は9月14日に緩和され、2段階措置となった。ただ、余談は許さない状況は続いており、9月27日まで様子を見るといったところだ。
自営業者の6割「廃業を考えた」
しかし、経済活動のほとんどを止めた損害はあまりにも大きい。
だからこそ、韓国政府は緊急災難支援金として3兆2,000億ウォン(約2,900億円)を小商工人(小規模の個人事業者)に給付した。しかしながら、これは1人あたり200万ウォン(約18万円)ほどになるが、ソーシャルディスタンス2.5段階措置の2週間での損失は1,000万ウォン(約90万円)だ。完全に「焼け石に水」の状態となっている。
そして、自営業者へのアンケートでは、全体の59%が2.5段階措置以降に「廃業を考えたことがある」と答え、実際に全体の11%は廃業したという。
集合禁止措置によって指定された施設についても、69%が廃業を考えたとしている。だからこそ、2段階措置に緩和したわけだが、このままでは自営業はほとんど廃業することになる。
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