本部が夜逃げ倒産「バーガーシティ」最後の1店舗が愛される理由

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かつて近畿地方を中心に「100円バーガー」を売りに大人気を博した「バーガーシティ」ですが、1990年代にフランチャイズ本部が倒産、多くの加盟店が閉店を余儀なくされる事態に。しかし、今日まで独自営業を続けている「最後の1店舗」は地域になくてはならない店として、また全国からファンが訪れるほどの「聖地」として人気を誇るほどになっています。何がこのような「奇跡」を可能にしたのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、ピンチをチャンスに変えたバーガーシティ最後の1店舗の戦術を解説しています。

最後に生き残った「バーガーシティ」の誇り

1980年代前半から半ばにかけて急成長していた、中堅ハンバーガーチェーン「バーガーシティ」。大手チェーン店が、ハンバーガーを200円で販売していた時代に、「100円バーガー」として、一世を風靡しました。最盛期には、約400店舗にまで拡大。「百円満点、バーガーシティ」というキャッチフレーズで、テレビCMも流していました。

ところが、1990年代に業績が悪化し始めると、突然、本部が“夜逃げ”して倒産。全国のチェーン店オーナーは呆然。原材料の供給は止まり、閉店せざるを得ない状況になりました。一瞬にして、世の中から「バーガーシティ」が消え去っていったのです。

しかし、その中の数店舗は、「バーガーシティ」の名前やロゴをそのままに、独自営業を続けることにしました。当然、原材料が手に入らなくなったので、それぞれのお店が、それぞれ調達し、そのお店ならではの商品で、営業し続けたのです。

しかしながら、夜逃げ倒産のイメージは暗く、長くは続かないお店もありました。それでも、2018年までは2店舗が残り、伝説的な存在として、ファンに愛されていました。しかし、残年ながら、大阪府堺市で頑張ってきたお店が2018年で閉店。とうとう、残り1店舗となりました。

兵庫県豊岡市に残るこのお店は、地域に根ざし、地域の人に愛され続けています。昔からの馴染み客が多く、なくてはならない存在となっています。また、最後の1店舗となったことで、全国からファン&マニアが訪れるようになっています。

このお店のオーナーは、本部が消滅した時、驚きや不安感はあったものの、「これはチャンスだ!」と考えていました。というのは、以前からオリジナルの商品を出してみたいと思っていたからです。

フランチャイズでは、当然制約が多く、決められたことをこなすだけです。オリジナルの商品を作ることなど、許されません。なので、チャンスだと捉えたのです。

本部が消滅して以降、自由なスタイルで経営できるようになり、オリジナルの商品を生み出したり、地域の人間として、肌で感じた要望に応えることができるようになりました。そこからは、次々に新商品を開発したり、SNSに会員交流サイトを作り、積極的に情報発信をして、さらに地域に愛される「バーガーシティ」になっていったのです。

オリジナル商品の例を挙げると……。

  • 焼肉バーガー
  • カツ丼バーガー」
  • かにクリバーガー
  • ピザバーガー」
  • 秘伝激辛とろバーガー
  • とちの実バーガー
  • 八鹿豚のしょうが焼バーガー

など。自由な発想で、実に楽しそうです。

苦難を乗り越え、チャンスと捉え、「独自のバーガーシティ」を創り上げたのです。お見事です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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