もう時効?村上世彰さんと「フジテレビ買収」の裏話をしてみよう

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2006年、旧ライブドアによるニッポン放送株式の買い占めをめぐりインサイダー取引で逮捕された、村上ファンド代表の村上世彰氏。かつて世間を騒がせた「フジテレビ買収騒動」とこの逮捕劇について、村上氏と敵対的買収の賛同者同士だったという有名投資家の房広治さんは、自身のメルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』の中で、村上氏が旧通産省を辞める前の年に、とある忘年会で初めて会った時のことを述懐。フジテレビ買収についていくつかのアイデアを村上氏に与え、そのうちの3つを村上氏が仕掛けたことを明かしています。

※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2020年8月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:房広治(ふさ こうじ)
アメリカ、イギリス、香港など主要金融センターで著名な日本人投資家。留学中に外資系銀行に就職し、わずか10年で日本のインベストメントバンキングのトップとなった。投資家転向初年度に年率リターン90%以上の運用成績を出し、ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーとなる。現在は、バークレー大学・ハースビジネススクール、コロンビア大学、ロンドンビジネススクール、香港大学など著名大学で、オルタナテイブ投資、ヘッジファンド、プライベートエクイテイファンド、コーポレートガバナンス、金融危機についてのゲスト講義なども行っている。

村上世彰さんと「子会社のほうが時価総額が大きくなる話」

村上ファンドの村上世彰さんが著書『村上世彰、高校生に投資を教える』の中で、フジテレビとニッポン放送の話を書いているという。ニッポン放送関係者がメールで教えてくれた。

私はまだ本のほうは読んでいないのだが、この関係者の話によると、村上さんは自身の名誉回復のために本を出版したのではないかと言う。村上さんの伝えたいメッセージは、「日本の裁判官は、金融リテラシーがない」「自分は、その金融リテラシーのない裁判官の被害者である」ということなのではないか?とおっしゃっていた。

また本件については、他の方もいろいろと好きなことを書いているということなので、「秘密保持の時効成立」ということで、誰も傷つけないような事柄に限ってだが、以下、金融リテラシーという観点から書いてみた。

敵対的買収「賛同者」としての出会い

まず、私は村上さんと面識がある。

村上さんが旧通産省を辞める前の年に、ファンドに最初の1億円を出資して合計で3億円を集めてあげたという日本の上場会社の社長に連れられて、「忘年会」で初めて会った。

村上さんは、通産省時代の通産官僚として、当時は異例の敵対的買収賛成者なのだという説明であった。

私は、村上さんを紹介してくれた社長に、「世界で最初の敵対的買収は、私が勤めていた会社の創業者が1958年から59年にかけて、ブリティッシュ・アルミニウムという会社を、TIという会社に買収させたものだ」と説明していた。

1990年に日本に戻ってきた私も「日本でも敵対的買収が産業の活性化につながる」との意見を持っていたために、その社長が連れてきたのであった。

村上さんと語り合った買収アイデア

当時、同僚でしょっちゅう一緒に仕事で協力し合っていたマイケル・レミントンと私が、村上さんを連れてきた社長を接待するという場であった。

その社長の話を聞いて、当時スイスの「ビジョンファンド」というM&Aのターゲットになりそうな会社にお金を突っ込むファンドの話を教えたことで、村上氏の「ファンドの構想」が鮮明になったのだと思う。

カール・アイカーン、T.ブーン・ピケンズ、アイヴァン・ボウスキーなど投資家の話とともに、マイケルと私で「日本でやるなら」と、村上さんにいくつかのアイデアをあげた。

この時のアイデアのうち、結局、3つを村上ファンドは仕掛けることになる。

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