例えばプロ野球の世界では、球速の緩急を自在に操る投手が成功する事例が多いものですが、ビジネスの世界でも「緩急」は重要なようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、営業や接客において、話す早さや声の大小、敬語や親身な言葉の使い分けといった「会話の緩急」がいかに大切かを解説しています。
緩急の無い人
私は特にデザインに詳しいわけではありませんが、いくつかの書籍や人の話を聞いてみると、緩急をつけることがどれだけ大事なことなのかをやたらと耳にする気がします。緩急があることで伝えたいことが伝わり、逆に緩急がないデザインというのは、大事なことが伝わらないというのです。
例えば、数字で「100%」と伝えたいとするとします。緩急の無い人が作った「100%」という文字では、そのまま「100%」と書かれているだけなのですが、緩急をつけるのがうまい人は、「100」を大きな文字にして、「%」を小さな文字にするのだそうです。すると、「100」という本来伝えたい数字がより強調されて、見た人に伝わるのだと。
実際にパワーポイントのスライドに、そのようにやってみると、確かに、「100%」と平坦な文字よりも、「100(大)」「%(小)」と書かれている方が、より大事な数字がしっかり伝わります。
デザインにおけるこうした緩急というのは、接客にも思い切り当てはまることです。伝えたいことがうまく伝わらない販売員、つまり、お客様側からすれば、「何が言いたいのかよくわからない販売員」というのは、多くの場合、緩急がありません。
例えば、ずっと同じトーンで話を続ける人。例えば、ずっと「これも大事」「これも大事」と強調するような言葉を使い続ける人。
こういう人ってたまにいますよね。
しかしこれだと、お客様は、「で、結局どこが一番大事なことなの?」とよくわからないまま話が進みます。だからいつまで接客を続けても、お客様の購買決定の後押しをすることができずに、結果、決定に結びつかなかったり、迷われていつまでも時間を使わせてしまう接客になりがちなのです。
この辺が上手な人というのは、接客の会話の中にもいろんな緩急があります。大事な部分以外がものすごく早口で喋るのに、いざ大事なことを話すときには、丁寧にゆっくり話を進める。接客中、ほとんどは大きな声で話しているのに、いざ大事なことを話すときには、急に声が小さくなる。
会話の仕方だけではなくて、言葉の使い方にも緩急はあります。丁寧な敬語で話し続けていたのに、あるポイントだけは、親身な言葉遣いになり、お客様との距離をグッと縮めるというのも、こうした緩急のひとつでしょう。
いろんな緩急の付け方ができるようになれば、それだけ会話のコントロールであったり、しゃべりの質が高まることになりますから、販売員としては身につけておきたい技術と言えるのではないでしょうか。
ちなみに個人的には、こうした緩急をつけるうまさが評価の対象にもなっている職業、落語家や講談師という職業の人たちの話はとても参考にしています。緩急に自信がないという人は、そういう人の話を聞いてみるのも良いかもしれませんね。
今日の質問です。
- 会話における緩急とはどういうものだと思いますか?
- 自分の会話に緩急をつけられるようにするためには、どんなトレーニングや学びが必要ですか?
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