褒められて嬉しくないという方はそう多くないでしょうが、違和感を抱く「褒められ方」もあるのも事実です。その原因は何なのでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、実際に「嘘くさい」と感じてしまった接客を例に、「褒める順序」の重要性を解説しています。
褒めを自然に
以前、お客様と接する際に、どう褒めれば良いかという話を書きました。
● 一つで終わるから伝わらない。実は「繋げて褒める」が効果的な訳
その時には、ただ褒めるのではなくて、具体的な内容と一緒に褒めましょうと書いたと思います。例えば、洋服の試着をしていたとすると、お客様が試着をされたら、「お客様は肌の色が白いので、この色がよくお似合いになりますね」みたいなことです。褒める時にはただ褒めるのではなくて、具体的な理由を一緒に伝えてあげることで説得力が生まれますよという話でした。
しかし、最近ある企業で接客を見せてもらっていたら、ものすごく違和感を抱くことがありました。その企業では、先ほど書いたように、具体的な理由とセットでお客様を褒めることを励行されています。だから、販売員の方々もそのように練習をしていて、その通りに具体的な理由とともに褒めるのです。ですが、どう聞いてもその褒め方に違和感を抱いてしまうのですね。
「お客様、〇〇なのでよくお似合いになりますね」と言ってくれてはいるのですが、言葉を恐れずに言えば、すごく嘘くさいのです。
そうなっている理由は、非常にシンプルなことでした。お客様が試着をされた瞬間から、具体的な理由をつけて褒めているからだったのです。店の流れで言いますと、お客様が鏡の前で商品を当てます。そこですかさず、「お客様、〇〇だから~」と褒めてくれるのですが、これがいけないのです。
ごく自然な会話の流れを考えるとすぐにわかるはずなのですが、人は心から相手を褒める時にはまず最初に感情が出ます。
「素敵ですね」
「似合いますね」
「かっこいいです」
こうして思った感情がすぐに出てくるのが、会話の流れとしては非常に自然なわけです。接客でも同じで、本当に似合っていると感じたり、お客様のことが素敵だと思うならば、まず最初に
「すごく似合ってます!」
「良い感じですね」
「やっぱり映えますね」
など、感情が出て然るべきなんですね。その上で、なぜ似合うのかという具体的な理由がくっついてくるはずなんです。そうでないと、どうしても不自然な状態になり、違和感を抱いてしまいます。
その企業では、具体的に褒めるということを励行していますが、それはとても良いことなのに、使う順番がおかしくなっていたせいで、違和感が生まれてしまったのです。
ちょっとしたやり方の違いなのですが、こうした違いが接客では大きく響きます。褒める時にいかにすれば自然な褒め方になるか。もう一度考えて練習してみましょう。
今日の質問です。
- 相手を本当に褒める時には、どんな褒め方をしていますか?
- 接客においても同様に褒めるとしたら、どんなやり方にする必要がありますか?
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