スノーボードハーフパイプのメダリスト、平野歩夢選手が小学生の頃に練習に励んだ会津高原南郷スキー場が来場者激減で悲鳴をあげています。昨シーズンは暖冬で1か月近く早く営業を終えたこともあり、来場客は全盛期のわずか4%に落ち込んだそうです。読者の質問をきっかけに、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江一石さんが、この危機を救う方法を考えます。永江さんは、「閉鎖が無難」としながらも利用料無料やサブスク化というアイデアを提示しています。
スキー場に再興の道はあるか
Question
妻の実家がある町なので、この『会津のスキー場が「つぶれそう・助けて」とSOS 全盛時に比べて来場者が96%減』という記事が目につきました。最盛期から来場者が9割減ともなれば、潰れるしかないと思うのですが、ここからどのように新生させるかアイデアお聞かせいただけないでしょうか。
こうなってしまっては通常のスキー場としての役割はもう終えているのではないかと思います。もう町民・近隣住民がスノーボードをストイックに練習する場なんてどうでしょう。スノーボードを極めるならここに移住ぐらいの立ち位置を築けるといいとは思うのですが。
永江さんからの回答
厳しい言い方になり申し訳ありませんが、率直に言って閉めた方が良いと思います。もし続けるとしたらよほど画期的なことをやらないと生き残れません。
スキーをやる高齢者もスノーボードをやる若者も減っている中で、スキー場でお客さんが来て成り立っているのは、雪質が良くインバウンド旅行者が多い長野県の野沢や北海道のニセコ、若者が多い首都圏/都市部から近い苗場や白馬などです。わざわざ遠くの、雪質が特別良いわけではなく、絶品の食材が楽しめるわけでもない福島や東北のスキー場に行く理由がありません。
なので、基本的には損失が拡大しないうちに畳む方が無難で、もしどうしてもスキー場として生き残りたいならば、根本から市場と戦略を考え、画期的な差別化を図らなければなりません。
例えば、都心のスノボ好きの若者に足を延ばしてもらえるようにスキー場の利用料を無料やサブスク型にして、収益は来場者に他の商品/サービスで作るとか。
または長期滞在が基本のインバウンドのお客さんに特化した素泊まりの部屋数が多いコンドミニアムを作ったり(海外は家族みんなが同じ部屋で寝る習慣がないので人数分の部屋があれば長期でも過ごしやすいし、毎日同じ旅館の夕食メニューを出されても飽きるので素泊まりにして地域周辺のお店で食べた方が楽しめる)、お寺の境内で宿泊できて日本文化に触れながら滞在できるようにするとか。
そのままスキー場をやっていても赤字が拡大するだけなので、もし続けるならそもそも「誰に何の理由で来てもらいどうやって収益を作るのか」を根本から考え直すことが必要だと思います。
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