「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」ーー大ヒットしている『鬼滅の刃』のセリフを“引用”して、国会論戦に臨んだ菅首相。2日に行われた衆院予算委員会で、質問に立った、立憲民主党の江田憲司代表代行に対し、『全集中の呼吸』で臨んだものの、議場は無反応。どうやら渾身のジョークは空振りしたようだ。
菅首相「全集中の呼吸」に、議場の雰囲気は無惨
菅内閣が誕生して初めての本格論戦の場となった衆議院予算委員会。答弁能力が不安視される中、菅首相は日本学術会議の会員選考についての質問などに答えた。
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最初の質問に立ったのは立憲民主党の江田憲司氏。衆院選に立候補するよう誘ったのが菅首相だったことを明らかにした江田氏に対し、菅首相は「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と発言。
この瞬間、議場はまるで時が止まったかのような静けさに包まれた。
実はこの『全集中の呼吸』とは、大ヒットアニメ『鬼滅の刃』で、主人公をはじめとする鬼殺隊の隊士たちが戦う呼吸法、いわば必殺技のようなもの。
菅首相がこの日のために用意してきたのだろう。自信満々に『全集中の呼吸』で宣言したものの、思いっきりスベってしまったようだ。
菅首相の答弁はすでに危険水域
なぜ菅首相は『鬼滅の刃』のセリフを発することを決めたのか?「今、鬼滅の刃が流行っているからこのジョーク絶対にウケますよ!」と誰かに入れ知恵されたのだろうか?
衆議院予算委員会に参加しているのは、こういっては失礼だがお年を召した年配の議員たち。この日、議場にいた人の中で、映画を観たり、漫画やアニメ版を見たりしたことがある議員が何人いただろうか?
もし、菅首相が自身の判断でこのジョークをぶち込んだのなら、そのセンスが疑われるし、誰かにアドバイスして発言したのなら、菅首相の周囲にいる人物が空気を読めない人たちだと思わざるを得ない。
全くウケなかったダメージを引きずってしまってか、その後の菅首相の答弁は野党からの質問と噛み合わないことが多く見られた。与野党初の本格論戦の場。いわば菅首相にとって国会デビューの日でもある。だが、結局菅首相は用意された紙を読むことに終始し、安全運転に徹した形となってしまった。
唯一目立った発言としては、日本学術会議の会員選考について「閉鎖的で既得権益のようになっている」と批判したことくらいか。