線路にイヤホン、落とさないで 終電後の捜索負担、回収機開発も―JR東

2020.11.04
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by 時事通信


掃除機型回収機を使ってワイヤレスイヤホンを回収するJR東日本社員=2日、東京都大田区

掃除機型回収機を使ってワイヤレスイヤホンを回収するJR東日本社員=2日、東京都大田区

 線路へのワイヤレスイヤホンの落とし物が後を絶たない。JR東日本によると、東京近郊の駅では今年7~9月に計900件以上の申告があった。小さいためすぐに回収できず、駅係員が終電後に捜索することも。専用回収機の開発など対策も講じられているが、鉄道各社は「落とさないよう注意してほしい」と呼び掛けている。
 ワイヤレスイヤホンはコードがなく、耳にのみ装着することでスマートフォンなどの端末から無線通信で音楽が聴ける。サイズは数センチと小さい。電車の乗降時やホームでの待ち時間に耳から外れ、線路に落ちているとみられる。
 JR東によると、線路に物が落ちた場合、通常は棒状のマジックハンドと呼ばれる道具を使って回収する。ただ、イヤホンは線路の砕石に紛れて取りにくく、状況によっては電車を止めたり、終電後に係員が砕石の中を捜索したりすることもある。担当者は「(回収の)負担は大きい」と打ち明ける。
 同社東京支社が7~9月、山手線を含む管内全78駅の線路への落とし物状況を調べたところ、イヤホンは計約950件に上り、全体の4分の1を占めた。JR西日本や京王電鉄、東急電鉄など他の鉄道各社でも駅構内でイヤホンの落とし物が相次いでおり、構内放送などで注意を呼び掛けている。
 線路上のイヤホンを素早く回収するため、JR東はパナソニックと協力して専用回収機の開発に乗り出した。吸引力を用いた掃除機型で、先端を細くすることで砕石の間に紛れても回収しやすい仕様。JR池袋駅で試験運用し効果を検証しているが、マジックハンドより短時間で回収できるという。
 今月からはツイッターや駅の電子看板(デジタルサイネージ)を活用した落とし物防止キャンペーンを始めた。東京支社の飯島正勝業務課長は「落とした場合は自分で拾うのではなく、駅員に連絡してほしい」と話している。(2020/11/04-13:36)

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