CAの本音は?経営破綻に採用中止、コロナで混迷極める航空業界の未来

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エアアジア・ジャパンが今月17日、東京地裁に破産申請をしました。負債総額は217億円。12月5日に事業を停止するといいます。一方、ANAは2022年4月入社予定の新卒採用と大幅に減らすと発表。パイロットなど一部の職種のみの採用とすることを決めました。新型コロナウイルスの影響で暗いニュースばかりが続くエアライン業界。内部で働く人たちはどのような目でこの現状を見ているのでしょうか?JALや外資系航空3社でCAを務め、通算13年のフライト歴がある高橋くるみさんが、元CAならではの目線でエアライン業界を考察していきます。

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航空業界を待ち受けている未来とは?

新型コロナウイルスの影響を受け、航空業界はいまだかつてない苦境に立たされています。社員約3500人の削減を発表したANAは、採用中止や定年退職でその規模を圧縮する動きや、社員の一部にTOYOTA等の他業種に出向を提案するというニュースが報じられました。

同じく日本の空を担う日本航空でも、宅配便大手ヤマトホールディングス等への500名の出向が報じられるなど現役客室乗務員(CA)ののLINEでも今後の行く末を案じるやりとりが続いています。

それら情報のほとんどがネットで先に掲載されたため、現役社員は騒然。瞬く間にSNSでシェアされていきました。会社からはその後に説明がありましたが、国内外のエアラインはほぼ同様の流れでした。

世相を反映しやすく、関心を持たれやすい航空業界の宿命ともいえるのかもしれませんが、そのような環境の中、翻弄され続ける彼女たちの声を聞いてみました。

「飛べないCA」「飛べるCA」

今回特に、“飛べないCA”となっているのが、世界を舞台に国際線で乗務を続けてきた客室乗務員たち。外資系エアラインのCAもこちらに含まれます。

国内線を運航している会社に在籍しているCAは「仕事は減っているとはいえ、標準的なスケジュールで飛んでいる」「すでに満席便も増えてきて大忙し」という現状があります。

国内線に乗務しながら、「国際線メインの大手JAL、ANAで働きたい」と業界内転職を目指し、受験準備をする現役CAも多いのですが、今回はそんな彼女たちの希望のみならず、大手エアライン現役からは仕事そのものが失われるという事態に陥っているといるのです。

今、どんなふうに日々を過ごしているのか?

ANAでは副業が解禁となったという報道がありましたが、すでに以前から副業が許可されている国内航空会社は複数あり、特に衝撃的な内容というわけではありません。世の中の一般的な副業増加の波に沿ったものだととらえられます。

CAは“サービスのプロ”と位置付けられているせいか、中には、いわゆる「本当に『ギャラ飲み』や『パパ活』をしているCAもいるんですか?」と、男性の皆さんからよく質問も受けます。

他業種の会社員の女性同様、このような副業をしている客室乗務員も存在すると思いますが、その2つの副業だけがフォーカスされすぎるのは、少々違和感があります。

多数ある採用基準の1つとしてCAは、いわゆるこの様な男性接待系副業に向く素養中心で合格している方(華やかな容姿、若さ、饒舌さ、男性受けの良さなど)と、地道な副業に向く素養中心で合格している方(英語力や、年齢相応の社会経験、体力、人柄の魅力、女性受けの良さなど)に大きくわかれ、不思議と副業の内容もそれに呼応したものとなっている現状もあるようです。

接待系副業のほかには、オフィスワーク、カフェやなじみのレストランで資格を生かしたソムリエとしてのお手伝い、塾の先生、単発の通訳、ウーバーイーツ配達員など、多岐にわたります。

全般的に3割程度の給与カットがどの航空会社でも起こっている印象で、その補填を副業が可能なエアラインのCAは行っているという現状はあります。

ただ、副業が許されていても、出費を様々な工夫でおさえ、CAの仕事のみでがんばり、つつましく暮らしているCAも多数いることも事実です。

CAの仕事は所定の訓練を終了し、温かい気持ちさえあればどんな方でもできる仕事ではあります。しかし、採用試験のハードルはいまだ高めであり、がんばって手にした仕事を手放さないためにも、やむを得ずそれぞれのやり方でコロナ禍を乗り切ろうとしているのです。

各社の出向計画についての感想をJAL、ANA現役客室乗務員に聞いてみても、「出向には応じられない」と語る人もいれば、「もともと異業種からCAになったのでぜひ頑張ってみたい。いい経験になる」「しばらく他でがんばってCAに戻れるのであればどんな業務でも挑戦したい。」とプラスにとらえている人も目立ちます。

なかには都心のオフィスワークで9時~5時生活を送れる環境への出向となり、CAでは想像もできなかった新しいライフスタイルを模索できると考える人たちもいます。

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