コバルトブルーに目を奪われる、秋田県の隠れた名湯「水沢温泉」

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2018/03/21

温泉大国の秋田県にある、良質な温泉にもかかわらず、ついつい見落とされてしまいがちな隠れた名湯があります。その名は「水沢温泉郷」。今回、地元民に愛される水沢温泉郷を紹介します。

良質な泉質で、地元民を虜にする「水沢温泉郷」

温泉ファンにとって東北の地は地味豊かな温泉の宝庫。寒い北の地の山間にはあちらこちらに個性豊かな温泉が湧きいでます。

秋田といえば「乳頭温泉郷」があまりにも有名ですが、他にもたくさんの名湯・秘湯に恵まれ、ぱっと思い浮かぶ名をあげても「玉川温泉」「後生掛け温泉」「蒸ノ湯温泉」など実に特色豊か。

ただ、多くの秘湯と呼ばれる温泉がそうであるように、あまりにも山奥にありすぎて、冬期クローズとなる温泉も少なくありません。

そんな中で今回は、良質な温泉にもかかわらず乳頭温泉に行く手前に位置する立地のためついつい見落とされてしまいがちな隠れた名湯「水沢温泉郷」を紹介したいと思います。地元県民にはファンが多く、その実力はローカルのお墨つき

水沢温泉があるのは田沢湖の東、駒ヶ岳の麓となります。田沢湖から乳頭温泉へと続く県道194号線沿いで田沢湖と乳頭温泉とのちょうど中間あたりと言ったほうがわかりやすいかもしれません。

標高は1000mほどとなり、田沢湖駅からは車で約15分なので、けっしてアクセス困難というわけではありません。

ところが、自分で車を運転して来る人はもちろんのこと、バスや空港からのエアポートライナー(エアポートライナーは秋田空港から主な観光地へ直接移動するための予約制乗り合いタクシーサービス)を利用してこのエリアを訪れる観光客の多くが乳頭温泉を目指しているので素通りされることがほとんど。

乳頭温泉目当ての観光客は水沢温泉の名前すら知らないのかもしれません。


秋田では水沢温泉は“良質の温泉”としてよく知られる温泉で、よく名前もあがります。それなのに観光客にいまひとつ名前が知られていないのは、乳頭温泉があまりにも有名になりすぎて、そのすぐそばにあるがゆえ取り上げられることが少ないからでしょう。

言うならば、乳頭温泉の影にすっぽりと隠れてしまっているわけです。

乳頭温泉が泉質、雰囲気ともに素晴らしい温泉であることは間違いありませんが、いささかTVやメディアで紹介され過ぎた感があるのはいなめません。

秋田県民にしてみれば、わざわざ山の奥まで行ったところで、観光客でごったがえす“いも洗い状態”の湯船ではちっとものんびりできないので、それならばその手前にあってアクセスもよく、泉質も乳頭温泉に負けず劣らずの水沢温泉がいいというのは実にごもっともな意見。

日帰りで利用できる立ち寄り湯には朝から地元の人たちの姿が多く、おそらく1日を通しても利用者は観光客よりも圧倒的に秋田県民のほうが多そうな印象です。

隠れた名湯、水沢温泉の実力

水沢温泉郷の源泉は駒ヶ岳の麓にあり、20軒弱のホテル・旅館や民宿・ペンションなどが点在します。

源泉はひとつだということですが、引いてくる距離の問題なのか宿によってずいぶんとお湯が違って見えるのが面白いところ。

濁り湯のところもあれば、ほとんど透明の湯という宿もあり、湯の花の量もかなり違うような気がします。

「日によっても微妙に違う」とは、地元の人談。地中の様子が日々変化しているのは当然のこと。温泉が地球の中から生まれてくる自然の賜物であることを再発見するお言葉です。

この温泉郷で一番有名なのが「露天風呂 水沢温泉」。

 

素泊まりと湯治用に自炊できるようになっている施設で、日帰り温泉利用としては水沢温泉郷の中で一番人気

内湯、外湯ともに熱めのお湯とぬるめのお湯ふたつの湯船が用意され(つまり、男女ともに計4つの湯船を楽しむことができます)、自慢は深さ1mもある露天風呂。

1mと聞いてもたいしたことがないように思いますが、実際入ってみるとお風呂の1mはかなり深め。湯船といよりプールと呼びたくなく感じで思わず泳ぎたくなるのは私だけではないはず。この深めの浴槽に肩まで湯に浸かりながら開放感にひたるのが至福のひとときなんです。

お湯は白濁の濁り湯ですが、乳頭温泉郷の「鶴の湯」ほどの白濁感はなく、気持ちブルーがかったライトブルー。時間が経つにつれコバルトブルーのような発色となるので、とくに冬場は露天の真っ白な雪とのコントラストが美しく映えます。

白濁の硫黄泉といえば個性派の定番ですが、ここのは硫黄に加え独特の油系の香りが楽しめるのが特徴。個性的な湯が好きな人ならすぐにピンとくるであろうあの“タール臭さ”のあるお湯なんです。

そのくせ肌当たりはとても柔らか。香りからすると強烈な刺激湯と思いきや、意外な滑らかさが逆にクセになるタイプのお湯で、実力派であることは間違いありません。

乳頭温泉と水沢温泉どちらの温泉がいいかというのは好みの問題だと思うのですが、10種類以上の源泉を持つ乳頭温泉にも水沢温泉の湯はありません

なので、温泉好きな人であれば、やはりせっかく乳頭温泉まで行ったのであれば、ついでに立ち寄らない手はないというのが結論でしょう。今まで水沢温泉の存在を知らなかったという人は、ぜひ足を運んでみてください。

道端にあるお湯の通り道
水沢温泉郷にある温泉宿「フラサホテル山麓荘別館」

ちなみに、水沢温泉の先にはもうひとつ「田沢湖高原温泉郷」という温泉があり、こちらもなかなかいい塩梅のお湯が楽しめる温泉郷です。どちらの湯ももしお関東近郊にあったなら、間違いなく名湯の名を欲しいままにするであろう実力湯。

温泉県、秋田はさすが層が厚い!ハンパない底力を感じることと思います。

秋田県仙北市田沢湖生保内下高野73-15
Tel: 0187-46-2111
最寄り駅:JR田沢湖駅から乳頭・高原行きバスで25分。水沢温泉郷」バス停前下車
日帰り入浴:大人 600円(1回)
詳細サイト

  • image by:小林繭
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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東京生まれ、湘南生息中のフリー編集ライター。インテリア、旅モノ、湘南情報を中心にお仕事しています。All About沖縄ガイド。目下、踊れる編集ライター目指し趣味のフラメンコに取り組む日々。趣味は温泉。

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