韓国で異常事態。日本で伝えられない「玉ねぎ女」のさらなる暴走

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先日掲載の「韓国法相がSNSで報復予告。『玉ねぎ女』の暴走に検事ら一斉蜂起」でもお伝えしたとおり、韓国でますますエスカレートするチュ・ミエ法相によるユン・ソンヨル検察総長への圧力。事態はついに、法相が検察総長に対し職務排除命令を出すまでに至ってしまったようです。なぜこれほどまでに法相は検察総長を敵視するのでしょうか。そして国民はこの「異常事態」をどのように受け止めているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』で韓国在住歴30年を超える日本人著者が、現地の新型コロナウイルスの感染状況と併せてレポートしています。

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11月末の韓国スケッチ

11月26日、27日、28日が、581人→555人→503人と3日連続500人台を記録した後、4日ぶりに500人を割った。11月29日は450人。この4日間、確定者数が少しずつ減少する様相を見せているが、拡散の勢いが落ちたとは言い切れない。特にこの日確定者数が減ったのは、週末の検査件数が直前の平日に比べて7,000件余り減少した影響もあるとみられる。防疫当局は家族や知人の集まり、学校、塾、サウナなど日常空間で集団感染が続出しており、当分の間拡散傾向は続くものとみている。感染症の専門家は1日1,000人以上の確定者が出る可能性があると警告している。

政府は29日午後、中央災難安全対策本部(中対本)会議を開き、「社会的距離social distancing」段階の格上げをはじめ防疫強化対策を議論する。今現在は2段階の状態にある。段階格上げの基準である1週間1日平均地域発生確定者数は416人に達しており、全国的に2.5段階にアップされる可能性が高くなっている。社会的距離は、韓国では1段階、1.5段階、2段階、2.5段階、3段階の5つの段階からなっていて、定義は若干複雑でここにすべてを書くことはできないが、たとえば2.5段階になれば、会社での勤務が3分の1以上は在宅勤務(テレワーク、リモートワーク)を勧告し、3段階になると、必須社員のほかは全て在宅勤務を義務にするといった内容である。

さて、コロナ以外では前号にも書いた秋美愛(チュ・ミエ)茶番劇事態がさらに深刻さを増している。チュ・ミエ法務部長官(法務大臣)は11月24日、尹錫烈(ユン・ソンヨル)検察総長に対し職務排除命令(検察総長を辞めろという意味)を出した。その理由として

  • 数年前に中央日報のオーナーと不適切な面会をした
  • チョ・グク元法務部長官事件など主要裁判部への不法査察をした
  • 韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相事件の監察・捜査妨害
  • チャンネルA事件関連の監察情報の外部流出
  • 検察総長対面監察調査の妨害
  • 検察総長の政治的中立の損傷

などの6つの懲戒の疑いがあるとして、尹総長に対し懲戒請求および職務執行停止を命令した。しかしこれら一つ一つが話にもならない「言いがかり」としか言いようのないものなのである。

これを受け、ユン・ソンヨル総長は25日午後10時30分ごろ、「該当処分の効力を止めてほしい」と執行停止申請を出し、続いて26日午後3時、本案の取り消し訴訟も起こした。

法曹界によると、ソウル行政裁判所行政4部(チョ・ミヨン裁判長)は、ユン・ソンヨル総長がチュ・ミエ長官の職務排除に対する「執行停止申請事件」の審問を11月30日午前11時に非公開で行うとしている。

一般的に、執行停止申請事件の結果は、尋問から1週間後に当事者に通知されるが、今回は事案の緊急性と重大性を考慮して、裁判所は早ければ尋問当日、遅くても翌日に判断を下す可能性が高い。

チュ・ミエ法務部長官の職務排除命令で危機に追い込まれたユン・ソンヨル検察総長の運命が早ければ30日または12月1日に決定されるものとみられる。

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