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検察無力化か死刑か。韓国文大統領が検察総長の追放に必死なワケ=勝又壽良

文政権は検察トップの検察総長を解任して、自身に捜査が及ばないようにする「検察改革」を強行しようとしている。この横暴は国家を転落させる自殺行為だ。汚職事件の多発は、その国家の腐敗認識が低い結果である。つまり、汚職が犯罪であるという認識が低い社会では、日常的に贈収賄が行われている。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

「政権の疑惑捜査は、まかり成らぬ」

言うまでもなく法律は、誰に対しても厳正に執行されなければならない。この普通のことが、韓国では通らないのだ。

政権の疑惑捜査は、まかり成らぬという認識である。韓国ではこれまで、歴代政権が検察の疑惑捜査によって大きく揺らいできた経緯がある。その実態は、後で取り上げる。

文政権は、過去の政権が味わった苦悩を避けたいだけである。

この原因について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、検察が政権を倒す力があるほど「過剰検察権力」を持っていることにあるという立場だ。それゆえ、「検察改革」と称して、権力捜査を「無力化」させる法律を成立させた。捜査(行政)と起訴(司法)をあわせ持つ検察から、起訴を奪おうというのである。

ただ、この検察改革は途上であり、まだ軌道に乗っていない。今回の騒動は、この間隙において起こったものだ。日本の検察は、捜査と起訴を同時に行うがスムーズに運用されている。

韓国では、権力に擦り寄る犯罪が多発するという政治的土壌にある。これは、儒教社会特有の結果であり、賄賂が最も活発になる政治基盤を備えている。この現実を無視した「検察過剰権力論」は、あまりのも片手落ちな見方というべきだ。

検察捜査は、犯罪事実が起こっているから、それを糺す機関として必要不可欠である。

「厳正公平・不偏不党」が求められる日本の検察

韓国の検察制度は、日本から導入した。その日本で、かつて田中角栄元首相を逮捕した検察庁に対し、解体せよと言う動きは皆無だった。この辺りにも日韓の政権犯罪に対する認識が異なっている。韓国は権力の甘えを前面に出している。朝鮮李朝のように独善的な振る舞いが、権力の特権として許されると見ているのだ。

日本は、江戸時代の「大岡裁き」の伝統が生きており、検察に対して公正保持という信頼感がある。日韓では、「検察文化」に対する寛容度が全く異なっている。文政権は、政権犯罪に寛容であるべきとしている。

日本は、検察について「秋霜烈日」(しゅうそうれつじつ)という形容詞が使われる。検察は、時の権力に対しても臆することなく捜査する不偏不党の厳しさこそ、その存立条件となるという意味だ。

日本の検事総長である林真琴氏は、就任挨拶で次のように語っている。検察のあるべき使命を示したのだ。

「検察の使命は,厳正公平・不偏不党を旨として,事案の真相を明らかにし,刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現することにあります。このことによって,社会秩序を維持し,安全・安心な社会の実現に貢献できるものと考えております」

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