ホタルの光、昔は深緑色だった? 遺伝子から1億年前を再現―中部大など

2020.12.08
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by 時事通信


試験管内で再現された1億年前のホタルの光(右)と現在のゲンジボタルの光(左)(大場裕一中部大教授提供)

試験管内で再現された1億年前のホタルの光(右)と現在のゲンジボタルの光(左)(大場裕一中部大教授提供)

 1億年前のホタルの光は深緑色だった?―。中部大応用生物学部(愛知県春日井市)の大場裕一教授らは、1億年前のホタルが持つ発光酵素の遺伝子配列を特定し、当時のホタルの光を試験管内で再現したと発表した。研究成果は2日付の米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」(電子版)に掲載された。
 大場教授によると、ホタルは体の尻付近にある「発光器」に、体内で生成した発光酵素「ルシフェラーゼ」と化学物質「ルシフェリン」を持っており、この二つを反応させて発光する。
 大場教授らは、世界に現在約2000種いるホタルのうち、発光酵素の遺伝子配列が判明している約30種のホタルの遺伝子情報をデータ解析。1億年前のホタルの発光酵素の遺伝子配列を特定し、遺伝子組み換え技術を使って再現した。
 試験管内で、この酵素を発光させると、ゲンジボタルやヘイケボタルが放つ黄色っぽい緑色と異なり、深緑色に光ったという。
 現在のホタルの光は、雄と雌が互いを見つけるためのコミュニケーションの役割を主に果たしているとされる。1億年前は深緑色だったと考えられることについて、大場教授は「ホタルの体には毒があり、毒を持つ他の昆虫が派手な色をしているのと同様、夜によく見える緑色に発光することで、捕食されないようにアピールしていたのではないか」と推察している。(2020/12/08-07:04)

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