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中国が「若者のクルマ離れ」を阻止。日本が学ぶべきZ世代向け戦略=牧野武文

今まで自動車に興味を示さなかった中国のZ世代(20代以下)が、自分の車を欲しがるようになってきました。なぜ興味を持ち始めたのか。それは車という製品が、この数年で別物と言ってもいいほど大きく変わったからです。Z世代の嗜好と中国メーカーの戦略を知ることで、若者を振り向かせる糸口を掴めるはずです。それは自動車以外の製品にも応用できる戦略です。(『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2020年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

中国版「意識高い系」の特徴は?

今回は、Z世代の自動車購入についてご紹介します。Z世代とは、マーケティング用語で、定義は異なることもありますが、中国では95后(95年以降生まれ・20代)とするのが一般的です。

Z世代は、当メルマガでも何度となく登場した用語です。なぜなら、消費傾向がそれより上の世代と大きく違っているからです。Z世代の最大の特徴は、グローバルな社会課題に強い関心があり、自己投資をするということです。すごく合理的で、真面目な世代です。一方で、自分の趣味にはお金をかけるオタク世代でもあります。個人的には、日本の(いい意味での)意識高い系に近い感覚だと思っています。

このような世代ですから、企業の安易なプロモーションには乗りません。「◯◯が若者の間で大人気」などと宣伝しても関心を示しません。一方で、SNSでバズる流行については敏感で、タピオカミルクティーや盲飯(ブラインドボックス、フィギュアが入っているボックス。開けるまでどのフィギュアが入っているかがわからない)などのブームが起きます。

簡単に言えば、企業とつながる商品には興味を示さず、SNSでつながる商品には強い興味を示すのです。SNSで話題になっているものを買い、購入した後はSNSで人と交流する。そういう行動をとります。

中国の「若者のクルマ離れ」に変化の兆し

このような世代ですから、自動車メーカーがいくら「速いんです」「高級なんです」「燃費がいいです」と言っても、自動車には関心を持ちません。毎日、7.5時間もスマホを使うZ世代にとって、運転をするためにスマホが使えないなどというのはありあえない事態だからです。車がなくても、スマホで公共交通の最適ルートはすぐに検索できますし、タクシーを呼んだり、ライドシェアを呼んだりすることができます。

そういうことから、中国でも「若者のクルマ離れ」が起きていました。ところが、ここのところ、車に関心を持つZ世代が増え始めました。まだ購入統計などに現れるほどではありませんが、自動車関係のネットメディアや動画配信などが好調です。

なぜ、Z世代は車に興味を持ち始めたのか。それは車という製品が、この数年で別物と言ってもいいほど大きく変わったからです。

キーワードは「自動運転」「人工知能」「5G」です。スマホとの親和性の高い車が登場してくるようになり、Z世代が再び車に興味を持ち始めているのです。

これは、自動車だけでなく、他の製品でも同じことが考えられるはずです。例えば、Z世代はテレビには関心がありません。でも、大型ディスプレイには関心があります。Z世代はステレオ装置には関心がありません。でも、ワイヤレススピーカーやスマートスピーカー、ワイヤレスイヤホンには関心があります。

何がZ世代の心を捉えるのか。自動車に対するZ世代の態度を知ることで、糸口がつかめるかもしれません。

今回は、「自動車に関心を示し始めたZ世代」についてご紹介します。

Next: 自動車に関心を示し始めた中国の若者たち。日本も追従する?

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