汚職の温床。カジノ業者と公務員の「IR接触ルール」は再び破られる

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政府は9日、「カジノを中核とする統合型リゾート(IR)事業に関する基本方針」の修正案をまとめたと報じられました。中国企業とのつながりで自民議員が逮捕されるなど、きな臭い話ばかりが聞こえてくる「IR」関連のニュースですが、公務員とIR業者が接触する際のルールはどのような決まり事があるのでしょうか? メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、読売新聞が同日報じたIR関係者と公務員との「接触ルール」を紹介しながら、過去に他の新聞がどう報じてきたかを「アーカイブ検索」をもとに調査し、その問題点を炙り出しています。

IR関係者「接触ルール」を新聞はどう報じてきたか?

きょうは《読売》からキーワードを探しましょう。

IR関係で「接触ルール」という言葉が出てきています。公務員とIR業者が接触する際のルールのことです。

これを《読売》で検索するとサイト内に110件、という数字が出てきたのですが、どうも、全く関係ないものも山のように拾ってきているようです。仕方なく、《東京》で検索すると7件にヒット。《朝日》ではサイト内19件、記事検索で11件出てきました。

きょうは《読売》の記事をまずご紹介し、【サーチ&リサーチ】では《朝日》をベースに見ていきます。

【フォーカス・イン】

今朝の《読売》4面のIR関連記事の見出しから。

IR業者と「接触ルール」
複数公務員で対応
基本方針修正案

政府が「カジノを中核とする統合型リゾート(IR)事業に関する基本方針」の修正案をまとめたというニュース。「不正防止のため、公務員とIR事業者の接触に関するルールを追加したこと」が主な修正点。加えて、「2020年代半ばを目指していたIR開業の目標時期は新型コロナウイルスの感染拡大などで困難」として、「2020年代後半」に変えられた。

修正案には他に、コロナの感染防止策を徹底することや、ギャンブル依存症対策などの必要性にも触れているという。

「接触ルール」の中身は、主に3つ。「国や地方自治体の職員がIR事業者と面談する際には、原則庁舎内で、複数の職員で行うこと」、「面談では特定の事業者が不当に有利あるいは不利になる行為をしない」、そして「職員は事前に面談内容を上司に報告。面談記録を作成し、一定期間保存すること」の3つ。

● uttiiの眼

もちろん、この措置は、自民党の衆院議員、秋元司被告が逮捕・起訴されたIR汚職事件を受けてのもの。しかし、この3つのような当たり前のことが守られていなかったのかと驚くばかり。例えば私たちのような取材者が官僚を訪ねて面談する際には、安倍政権下のある時期から、詳細なノートを官僚側が録るようになり、どのような取材を受けたかについて細かく上司に報告する態勢になった。カネが絡む業者との面談と比較して、この緩さはどうだろう。わざわざ大仰に「接触ルール」などと称して「記録は一定期間残せ」などと言っているのを見ると、こちらは苦笑いでもするしかない。

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