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日本の経済・コロナ対策を強靱化する唯一の方法。国民よ菅政権の支持率を地に落とせ=藤井聡

新型コロナの感染拡大が止まらない中、菅内閣のコロナ対策は遅々として進まず、それどころか経済対策として打ち出した「Go Toキャンペーン」を慌てて一時停止し、菅総理自身が8人の会食で批判を浴びるなど、混迷を極めています。メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』の著者で京都大学大学院教授の藤井聡さんは、2021年の日本が「コロナ」「経済」「菅政権」という3つの災いを乗り越えられるかどうかを予測。しかし、その展望は「絶望」に近いもののようです。

カネを配るどころか国民から巻き上げる制度を加速する日本

新型コロナの“第3波”によって、今、中小企業や飲食店、低所得の個人が再び苦境に立たされています。「医療崩壊」の危機が医療現場から強く訴えられるにしたがって、「時短営業」や「不要不急の外出」がより強く要請されるようになり、経済の冷え込みはよりその深刻の度を深めています。

それにも関わらず、菅内閣は、先進諸外国で見られるような徹底的な賃金補償や損失補償、さらには消費減税を行おうとする気配は一切ありません。

イギリスでは昨年までの所得水準に基づいて、その8割以下になった分を(上限50万円程度で)全額補償し、フランスは、売り上げが半減以下となった全ての飲食店等を対象に、総売上の15%程度を全額補償するという仕組みを導入し、国民経済の冷え込みを最小限に食い止めている一方、我が国では、各個人への10万円の給付金と、各事業主への100~200万円の給付金を「一回ポッキリ」配っただけで、それ以降の補償は、国民に大いに批判されているGoToトラベルやGoToイートだけを行うという極めて「お粗末」なものに留まっています。

また、諸外国では経済対策として、いの一番に消費税が減税されたのですが、菅内閣はこれを一向に減税・凍結しようとしません。それどころか、菅氏は驚くべき事に総裁選の折に、将来の消費税の「増税」に言及しました。さらには、社会保障費の国民負担をこの期に及んで増額するという、諸外国が行っている取り組みとは正反対の、国民からカネを巻き上げる制度を加速すらしています。

つまり我が国は今、

  1. コロナ
  2. 大不況
  3. 菅政権

という3つの「災い」に徹底的に痛めつけられる状況に至っているわけです。

誠に残念な年の瀬となったわけですが、新しくお迎えする新年・2021年には、この3つの「災い」を、1つ1つしっかりと乗り越えていかねばなりません。

ついてはこの3つについて、本来政府がなすべき取り組みを簡潔にとりまとめておきたいと思います。

医療崩壊を避けるためには「5類相当」に格下げを

まず、コロナ対策に関してなすべき事は、医療崩壊を避けること。そのために政治家やコメンテーター達はスグに「自粛の強化」を叫びますが、極めてナンセンス。自粛の強化が医療崩壊リスクを多かれ少なかれ軽減させることはあり得る話ですが、より効果的なのは、供給量の増加だからです。そしてそれは、決して難しい話ではないのです。

一番効果的なのは、指定感染症の分類を、現状の1~2類相当から、5類相当に格下げすることです。これが出来ないから今、病院は一人のコロナ患者に尋常では無い水準の手厚い対応が必要となっており、医療供給量を減少させているのです。それどころか、そうした手厚い対応を忌避する民間病院は、コロナ対応を敬遠するようになり、これがコロナ対応供給量を激減させているのです。だから、通常のインフルエンザと大差の無い対応を図る5類相当への格下げができれば、医療供給量を「激増」させることが可能となるのです。

その上で(あるいは、仮にそれが出来なくても、それと平行して)絶対にやらねばならないのは、コロナ対応を図る病院と医療従事者への手厚い補償です。コロナ対応を図っても患者が居なければ大赤字になる、というのが現在の仕組み。その結果、赤字を恐れる多くの民間病院はコロナ対応を辞めてしまっているのです。それを避けるためにも、コロナ対応を図っても決して赤字にならない(むしろ黒字になる)ような仕組みをつくれば、コロナ対応力は激増するのです。

以上を施した上で、重症者を減らすための自粛作戦も平行して進める必要があります。よく知られたように、高齢者は若者の何十位倍、何百倍もの重症化リスクを抱えています。したがって、自粛要請、感染予防対策を徹底するのは、高齢者優先なのです。12月23日現在、強力な自粛要請は政府から出されていませんが、今、重症者を減らしたいのなら、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある方に「限定」して強力な自粛要請を図ると同時に、65歳以下の階層に対しても、65歳以上の方を保護する事を要請することが得策です。

その他にも、薬や検査の拡充、飲食店での対応強化や目鼻口を触らない行為の推奨など様々な取り組みがあり得ますが、以上の供給対策と需要対策を対策の中心として展開することで、医療崩壊を回避しつつ、健康被害を最小化することが可能となるのです。

経済対策は「消費税の凍結」と「給付金を毎月配布」が得策

経済対策については今、政府はGoToを中心に展開しようとしていますが、これでは予算額が小さすぎて、経済は回復しません。

今なすべきは、消費税の凍結。これをやれば、それだけで経済は30兆円回復することになります。

これと同時に、持続化給付金を、売り上げが一定水準以下となった事業者を対象として毎月支給すること、そして、10万円の給付金を、所得が一定水準以下となった個人and/or一定割合以上減少した個人を対象に、「毎月」配布することが得策です。

ここで重要なのは、単発で1回、2回配布するだけでは不十分だという点。困っている人を対象に、困っている状態が解除されるまで、欧米のように「毎月」続けることが必要なのです。

一番厄介な問題は「菅内閣」という人災

最後の問題は、「以上に述べたコロナ対策、経済対策を政府がやらない」という問題。これこそ、人災としての「菅内閣災害」というべきものですが、これが人災である以上、菅内閣が以上をやると決断すれば、それだけで、その人災は収まります。

しかし残念ながら、今の所、菅内閣はこれをやろうという気配を一向に見せていません。

コロナ対策については、8月頃に議論されていた指定感染症の5類への格下げの議論はストップしたままです。医療関係への予算充当も、三次補正の中身を決定し、後は各知事達の責任だという態度を決め込み、もう菅内閣としてはやることはやったという態度に終始しています。経済対策についても、同じく三次補正を決定したので、これ以上やるという姿勢を見せていません。消費税減税・凍結についても何ら言及していません。

では、菅内閣が、真面目にコロナ対策と経済対策を図る可能性があるのかと言えば‥‥全てをしっかりやる可能性は「ほぼゼロ」だと筆者は考えています。

菅内閣に効くクスリは「支持率低下」以外にない

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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』(2021年1月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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