新型コロナ感染拡大の勢いが収まらぬなか、政府・与党が進めている緊急事態宣言下における飲食店等の休業に関する“罰則”の内容が、あまりにも酷すぎるのとではと批判の声が渦巻いている。
まず、2月上旬の成立に向けて政府が動いている「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正案の政府原案の内容が、先日6日に判明。それによると、緊急事態宣言下の休業を巡り、都道府県知事がこれまで事業者に出していた「指示」よりも、さらに法的拘束力のある「命令」を出せるように改正される。それに従わない場合は、50万円以下の過料を科せられるようにするという。
いっぽうで、7日に東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県を対象に出される緊急事態宣言に関する基本的対処方針の改正案も固まり、報道によるとこちらでは飲食店を中心に午後8時までの営業時間短縮を要請するとし、酒類提供は同7時までとすることも明記されるとのこと。さらに、要請に応じない飲食店は、その店名を公表できるようにするという。
自粛警察を煽りかねない店名公表に「まるでトランプ」の声
コロナ禍における外食離れにくわえ、政府・行政から断続的に出される自粛要請も相まるなど、苦境の日々が続く飲食業界。そんな最中、ここに来て自粛要請に応じなければ店名公表と罰金というダブル罰則が科される可能性が出てきたことに、SNS上では「飲食店イジメ」「もはや威嚇的」「罰則付けずに補償しろ」といった批判の声が噴出している。
国をあげての飲食店イジメでしかない。
飲食店が個人事業主や零細中小企業で、大きな業界団体もなく、電通の客でもなく政治的なロビー活動もないのをいいことに、対策を打ったフリのために犠牲になる。8時閉店は実質休業と同じ。バイトも呼べない、開店断念になってしまう事情がわからないのだろうか。 https://t.co/MwRoZxBlza— 建築エコノミスト森山高至 (@mori_arch_econo) January 5, 2021
まさかと思ってたけど、
そこまで個人の飲食店を責めるのか。
時短営業に従わないと、
店名公表するうえに、
罰金徴収すると。
対策の方向が、もはや威嚇的。
誰か、止める人はいないの。— Osam飛雄人_human (@osamotan) January 6, 2021
時短要請拒否のペナルティは、協力金の不支給。店名公表だの罰金だの、罰則付けたら自粛じゃない。
自粛なら、罰則付けずに補償しろ。#罰則より補償を— しんかい10911 (@jubilee0710) January 6, 2021
さらに、これらのダブル罰則については、その効果のほどを疑う意見が多い。「50万円以下の過料」に関しては、個人店にとってはかなり厳しいものの、チェーン店など規模の大きく売上が出せる店舗なら、むしろ罰金覚悟で営業したほうが得ではないかという声も。また「罰金さえ払えばイイ」ということで、自粛に協力するという意識を削ぐ結果になるといった推測も見られる。
呼びかけとか罰金50万以下とか。規模によっては時短しない方がお得なケースあるんじゃねえの。
— am@giri (@akabared3) January 7, 2021
経営規模が大きければ50万円の罰金は、休業する根拠とはならないでしょう。
そして、「罰金を払う」ことは「協力をただ拒む」ことより、ずっとハードルが低くなります。愚策です。
政府には、人心を理解する人がいないのでしょうか。https://t.co/w4j4hUppVF— 南の島のP龍柱 (@Psychiatry_MCU) January 7, 2021
さらに自粛非協力店の「店名公表」に関しても、先の緊急事態宣言の際に休業要請に応じないパチンコ店の店名を公表したものの、逆にその店に客を呼んでしまったという事例もあり、むしろ逆効果ではないかという意見が多く、労基法違反企業の公表などとは構図が違うと、その罰則の筋違いぶりを指摘する声もあがる。
店名公表の効果は? 自治体、昨春はパチンコ対象―誘客ケースも・緊急事態宣言:時事ドットコム https://t.co/MbQlKs6xY1
“昨春の宣言時は休業要請に応じないパチンコ店を公表するケースが各地で相次いだ。当時の効果を強調する自治体がある一方、「かえって客を呼んだ」との指摘もある”— 踊♥ウタマロ (@utamaro_) January 7, 2021
自粛しない店は自粛してて欲しくない客を顧客にしているわけで、店名公表には効果ないでしょ。
労基法違反の企業の公表なら、労基法違反してる企業だって労基法違反しててほしい労働者をターゲットにしてるわけじゃないから効果が期待できるわけだけど。 https://t.co/zIj9fj4wfq— rionaoki (@rionaoki) January 5, 2021
このように、その抑止力には大いに疑問符が付く「店名公表」だが、それでも実施する狙いとして、一部で取沙汰されているのが「自粛警察を焚きつけて、非協力店に圧力を掛けようとしているのではないか」という説だ。
要するに店名公表って「自粛警察の皆さん、お願いします!」ってことでしょ?開けてる店があるなら依頼する側がいっこいっこ回ってお願いしろよクソ公務員が・・なのだ。 https://t.co/FLBQDNcOZL
— サウンドエンジニアのアライさん (@AraisanatSEng) January 7, 2021
店名公表することが抑止効果につながるという発想に、そもそも日本的ないや〜な感じがある。しかも国が炎上や差別を率先して煽るとか、まともじゃないよ。
時短営業要請に応じない飲食店も公表へ 政令改正へ調整https://t.co/nlB1qedihy
— nukisuke (@nukisuke) January 5, 2021
要請に従わない店名公表って、自分らの手は汚さず自粛警察を煽って凸らせようとしてるわけでしょう?ほとんどトランプというか、政治のやることなのかそれは。
— DJ POEMBOY (@poem_japan) January 7, 2021
奇しくもアメリカでは、大統領選に敗れたトランプ氏のツイートに応じて集った支持者たちが連邦議会議事堂に乱入し、その混乱の最中に死亡者も出るという痛ましい出来事があったばかりとあって、店名公表によって自粛警察を煽ろうとしてる“疑惑”に対して「ほとんどトランプ」と、いった批判の声が多く集まる事態となっている。
「会食した議員にも罰金を」との辛辣意見も
先述の通り「罰金強化よりも補償を手厚くしろ」との声も多くあがる今回の件。時短営業に協力した飲食店などには、一日6万円の協力金が支給されるようだが、そのいっぽうで「持続化給付金」と「家賃支援給付金」に関しては、申請の受付を予定通り1月15日をもって締め切る方針とのこと。この緊急事態宣言中の支援打ち切りに対しても、多くの疑問の声があがる。
これ、今までで一番あかんやつや。緊急事態宣言を出して、そのタイミングで持続化給付金は打ち切り。他の支援策って具体的に何?これは、中小零細企業がバタバタいくぞ… https://t.co/ZJRhTdISLQ
— よごれん (@yogoren) January 6, 2021
持続化給付金と家賃支援給付金が打ち切り。ちょっと信じられない。対案があるならさっさと概要だけでも発表して欲しい。記事の中では財務省幹部が「今度の緊急事態宣言で影響を受ける業種に絞り自治体による協力金の支給で対応すべきだ」と言ってるけど言語道断。笑止千万。https://t.co/mlMFWRNjMT
— もりちゃん(CV:毒蝮三太夫) (@morichanemorich) January 6, 2021
感染拡大防止のためとはいえ、十分な補償のないまま逆に過料などの罰則まで強いられつつある状況に、そのやり場のない怒りは当然のように為政者側へと向かう形に。ネット上では「それなら会食した議員にも罰金を」といった辛辣な意見も飛び出している。
飲食店に罰則、罰金を課すなら、模範となる議員さん達の違反の際には、問答無用で議員辞職と剥奪ぐらいの緊張感を持っていただきたい。もちろん退職金なんて無し。 https://t.co/uvefMiTqjX
— 丸屋@東中野 (@maruyanowaka) January 6, 2021
腹立つ!
飲食店が休業要請に従わなかった場合、罰金50万て!
政府、議員は狂ったか?
てめーたちは、会食して宴会して、コンパニオンをつけるは、転んで怪我するは、大人数でやるわ、市長も参加する!
ふざけんな!その議員から、罰金を取ってやね、飲食店に渡してやれよ!
国民と議員の戦争や— おっちゃん (@rh1Xs9HB4VIIaKN) January 6, 2021
東京都の新規感染者数が早くも2000人を超えるなど、予測以上のハイペースとなっている感染拡大に対する焦りも垣間見れる今回の罰則強化。とはいえ、このような総スカンの反応を見るに、実際のところどれほどの効果があるものなのか、やはり首をかしげざるを得ない。
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