なぜ「浦安の低層マンション」は湾岸タワマン族の心を掴んだのか?

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以前掲載の「1位は本厚木『住みたい街ランキング』異変に見るコロナ時代の住宅選び」等の記事でもお伝えしている通り、人々の「住まい」への思いを確実に変化させた新型コロナウイルス。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、そんなコロナ禍にあって、価格は決して安くなく最寄り駅からはバス利用という条件にもかかわらず、浦安市の大型低層マンションが人気となっている背景を探っています。

コロナ禍で確実に変わった居住環境選び

こんにちは!廣田信子です。

いよいよ2度目の緊急事態宣言下の暮らしが始まりました。今回は、社会・経済を動かしながらの自粛生活となります。すでに市中感染が始まっていて、人の動きを止めないと感染拡大は止まらない…と言われながらも、人の動きは、前回の緊急事態宣言時のようには止まりません。そんな中、この三連休、浦安市の大型マンションのモデルルームが活況を呈していました。駐車場を埋める車はほとんどが都内ナンバーです。海がすぐそばの4階建ての低層の大型物件。浦安市最後の大型開発です。

東日本大震災後、計画の変更が迫られ、液状化対策を徹底して、今の計画になりましたが、計画が発表された当初は、都心、駅近のタワーマンションが全盛の時代。決して価格が安くはないバス便のマンションをどうやって分譲するのかな…と思っていましたが、コロナ禍以前から、暮らせるリゾートという新浦安地区のコンセプトをさらに充実させ、プラスして働くきながら暮らせるようにコワーキング環境も充実されていたのが、コロナ禍が生み出した新しい生活習慣にピッタリはまったのです。

多くは、湾岸地域のタワーマンション等からの転居希望だと言います。私の知り合いもその一人です。コワーキングスペースや図書館、カフェ等の共用施設も魅力ですが、広い自宅にワーキングスペースがとれることも重要。コロナ禍で、いざとなったら共用施設が利用できないことも思い知らされていますから。自宅にいる時間が増えると、地面に近いところに暮らし、敷地内をゆったり散歩等ができることも重要だと気づきます。

絶対的都心志向だった知人も、完全リモートワークが可能になったので、都心の狭いマンションにいる理由がなくなった。駅がすぐそこでも、コロナ禍では、子供を連れて公共交通機関で移動するのもはばかられる。しかし、駐車場料金がバカ高くて車を持つことは考えてしまう。都心、駅近に暮らす意味が薄れてしまった…と。

中には、家族との豊かな時間を大切にして、余暇を充実させながら、仕事をするために、このマンションを購入したら、リモートワークが可能な会社に転職を考えている人もいるようです。暮らしたい環境に住むことを優先させて、仕事の方を選ぶ時代なのです。

コロナ禍は、働くこと、住まうことに対する考え方を変え、家族と過ごす時間を重視する暮らし方に、子育て世代の意識を確実にシフトさせていることを実感しました。

現地モデルルームを訪れた知人が、「空が広いね」と言って深呼吸したのが印象的でした。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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