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バイデン政権誕生前後に株価調整?シーゲル博士、ガンドラック氏の見解は=江守哲

米国株に関して、様々な指標や著名投資家が過熱感を示している。シーゲル教授、ガンドラック氏、ファンドなどの見方を紹介しながら今後の値動きを考えたい。(『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』江守哲)

本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2021年1月18日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリファンドマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

「米国株に過熱感」指標も著名投資家も警告

米国株に関して、様々な指標が過熱感を示している。もっとも明確なものは投資家センチメント指標とPERなどのバリュエーションである。「びっくり10大予想」で有名なブラックストーンのバイロン・ウィーン氏も米国株の調整の可能性を指摘している。

ウィーン氏は「センチメントは変動するレンジの上限に近いところまで上昇している」とし、「市場参加者は、調整はない、何も間違いは起きない、経済は順調だ、ワクチンが普及すると考えている。これはとても危険な自己満足の態度だ」と警笛を鳴らしている。

また、弱気派エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏も、現株価倍率を「バカげた」水準とし、指数などは買わず現金を持つことを奨めている。

いまの相場は、一度は調整が入ったほうがよい。投資家は、今回のような相場を何度も見てきた重鎮たちの声を無視しないほうがよいだろう。ただし、長期的な上昇は継続するだろう。その中での調整であり、それは長期投資における買い場になる。それを逃さないことが、長期的な資産形成の上で重要なポイントになると私は判断している。

当メルマガではこれまで様々な指標を示してきたように、1年後の株価は相当高い確率(それも100%に近い)で株価は現時点よりも高いとのデータが出ている。このデータを基に考えれば、今後の押し目は大歓迎である。いまは現金比率を高め、押し目を待つのが賢明ではないだろうか。

10%から15%程度の調整で済むだろうが、そこを狙って買う準備をしておきたい。株価調整の結果、バリュエーションが調整されれば、買いを入れる正当性がより高まることになる。結果的にそうなるだろう。

シーゲル教授の見解

ジェレミー・シーゲル教授は、現在の好調な米国株の背景について、2000年を思い出させるようなコメントをしている。シーゲル教授は、「民主党による上院の過半数獲得は、12月半ばにはとても予想していなかった」とし、「さらに驚いたことに、ウォール街がこれにとても前向きに反応している」としている。このような動きを悲観的に見ているようである。

シーゲル教授は以前から、民主党やバイデン次期大統領の掲げる政策には市場への影響から見て2つの要点があるとしてきた。財政刺激策については市場にポジティブだが、増税は市場にネガティブという見方である。シーゲル教授は、当初は後者を強調していた。シーゲル教授が支持する共和党に勝ってほしいとい思いがあったようである。

しかし、結果は民主党のトリプルブルーとなり、さらにトランプ支持者による暴動まで発生した。しかし、市場はトリプルブルーを好感しているように見える。そのため、シーゲル教授は「現在の強気相場の局面では、株式市場は前者を重く見たようだ。バイデンが大統領だろうが、なかろうが、今年の市場は上昇するのだろう。流動性こそが市場において何よりも重要なのだ」とやや自虐的に解説している。

今後もマネーサプライと連邦政府支出はさらに増える見通しである。これも株高を後押しするだろう。つまり、シーゲル教授は、流動性がすべてを正当化する相場になっているということを言いたいようである。一方で、法人増税が今年中に議会で決定されると予想している。

その結果、経済状況を見て先延ばしされるとの見方は期待外れに終わるとしている。そのうえで、増税幅はそれほど大きくならないとしながらも、増税による税引後利益の減少が一部の熱狂を冷やすとしている。

シーゲル教授は、今年の米国株が10%から15%上昇すると予想している。「一部の株が目もくらむような高値に上昇しているものの、全体のバリュエーションは2021年の利益予想に対して22倍であり、実際の利益は予想を上回ると見ている。ブームが来て、流動性が来ると、S&P500のEPSは現在のアナリスト予想165ドルではなく170−175ドルになる」としている。

予想PERは22倍とやや高めの水準だが、EPSの改善により株価に上昇余地が生まれるとの予想である。ただし、現在のS&P500のPERは最高値で29倍台にまで上がっている。明らかに割高である。これが調整されないと、次の上昇に向かうのは難しいだろう。その意味でも、今年第1四半期の企業収益が改善し、PERがある程度調整する必要があるだろう。

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