NHK「受信料値下げ」の大嘘。改正案に盛り込まれた逃げ道と罰則

shutterstock_1090269071-2
 

NHKが集めた受信料の「繰越剰余金」(一般企業で言う「内部留保」)を活用する内容を含む法案が、2月下旬にも通常国会に提出されるようです。しかし、その剰余金に関する新制度には「不当に支払いを逃れる人に割増金を課す制度」が含まれており、受信料を拒否している人に大きな影響があると指摘するのは、メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』の著者でジャーナリストの内田誠さん。内田さんは読売新聞が掲載した小さな記事をきっかけに、ここ1年でNHK「繰越剰余金」について書かれた記事を検索・分析し、NHKの腐った組織体質も炙り出しています。

NHK受信料の「繰越剰余金」について新聞はどう報じてきたか?

きょうは《読売》です。

2面に、NHKの繰越剰余金についての小さい記事が見つかりました。「繰越剰余金」で《読売》のこの1年の紙面掲載記事を拾うと、9件ありました。

ということで、きょうは「繰越剰余金」です。まずは2面記事の見出しから。

NHK剰余金 活用制度新設
総務省報告書 受信料下げ原資に

総務省の有識者会議「公共放送の在り方に関する検討分科会」がまとめたNHK改革に関する報告書が公表された。

受信料引き下げに、一般企業の「内部留保」にあたる「繰越剰余金」を活用する新制度導入が改革の柱で、政府はこの点を中心にした放送法改正案を2月下旬にも通常国会に提出する。剰余金が一定水準を超える場合、値下げの原資として積み立てる新制度を提示。積立金が積み上がっても値下げをしない場合には、国民への説明責任を果たすよう求めるとした。

併せて、テレビを設置しながら受信契約を結ばず、「不当に支払いを逃れる人に割増金を課す制度」の導入も盛り込んだ。

●uttiiの眼

繰越剰余金はNHK問題の焦点の1つ。20年度末で残高は1450億円になると見込まれている。これを値下げ原資の会計に一定の算式に従って移管していき、ある水準を超えたところで半自動的に受信料を値下げするという仕掛けを作ろうということのようだ。しかし、「積立金が蓄積されているにもかかわらず、受信料の引下げを実施しない場合には、国民・視聴者に対してその理由について説明責任を果たすべきである」という逃げ道も作られている。これでは、本当に値下げが実現するのか、分からない。

「不当に支払いを逃れる人に割増金を課す制度」が作られれば、受信料払いを拒否している人に対するプレッシャーは一段と強まることになるだろう。

print
いま読まれてます

  • NHK「受信料値下げ」の大嘘。改正案に盛り込まれた逃げ道と罰則
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け