復活ソニーの株価好調に学ぶ、今の時代に必要なビジネスモデルとは

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2011年3月期、2012年3月期と連続して巨額の赤字を出し、TOSHIBAやSHARPなどより先に経営危機が囁かれたソニーが、ここ数年で鮮やかに復活し、株価も19年ぶりに1万円台を回復しました。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、発行人の理央周さんが、ソニーの業績がなぜ好調なのか、投資家はどこに期待しているのかについてマーケティングのプロ目線で解説。理央さん自身が動画撮影機材を購入する際、決め手にした部分についても大きな要因として伝えています。

なぜ、ソニーは期待されているのか?ソニーに学ぶ新常態でのビジネスモデル

ソニーの評価がまた高まってきています。株価が上昇し、昨年12月17日には年初来最高値、19年ぶりに、株価も1万円を超えました。まずは業績が好調です。2020年4~9月期の連結での営業利益も、前年同期比7%増の5461億円となりました。新型コロナウイルスでの巣ごもり需要が増えたこともあり、主力のゲーム機の「プレイステーション(PS)4」向けの、ゲームソフトの販売が増えたことが貢献しました。

ソニーの製品ポートフォリオの中身をみると、ゲーム・音楽・映画のカテゴリー、すなわちエンタテイメントの3事業が、全体の6割を占めています。

一時期、かなり低迷していたソニーが、ここ数年、順調に業績を伸ばしています。この号外では、「なぜ、ソニーが好調なのか?」を深掘りして、ソニーの動きから、今必要なビジネスモデルについて、考えていきましょう。

昔のソニーといえば…

もともとのソニーはといえば、オーディオやビデオ機器などの、電子機器の製造から始まったこともあり、AV製品メーカーのイメージでした。古い話で恐縮ですが、私が中学生の頃は、ラジカセ全盛期でした。その頃は、お年玉を貯めて買ったのは、ナショナル(今のパナソニック)の、クーガーというシリーズでした。ラジカセのてっぺんに、三百六十度回転できる、「ジャイロ」というアンテナがついている、かっこいいデザインだったのを覚えています。

それと比べて、私がソニーのラジカセに持っていたイメージは、「ぼてっとした見た目で、他のラジカセと、そんなに変わらないラジカセ」という感覚でした。あのスティーブ・ジョブズはソニーが好きで、日本に来た時は会社や工場を訪ねた、という逸話も聞いたことがありますが、1970年前半くらいまでのソニーは、「カッコいいブランド」ではなかったと、“私”は記憶しています。

そのソニーのイメージを一新したのは、ウォークマンでした。1979年にウオークマンが出た時に、私は大学生くらいでした。当時好きだった、レッドツェッペリンや、キングクリムゾンのロックを、家の外で聞けるなんて!と衝撃を覚えました。バイトしてお金を貯めたものでした。

それ以降、パソコン事業でのVAIOシリーズも、少し高いですが、デザインがカッコよく、画期的なパソコンだったことを鮮明に覚えています。考えてみると、この辺りまでのソニーといえば、画期的な製品を生み出す企業、デザインに優れた家電メーカーというイメージがありました。

一方で、そのメーカーとしての製品も、市場で話題になることも減り、業績も落ちたことがあり、ファンだった私は残念だな、と感じていましたが、その落ち込みの分を、ゲームや音楽のエンタメ分野で補っていました。

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